2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形H無限大制御を用いた複雑環境下におけるハイブリッド型適応学習システムの構築
Project/Area Number |
18560445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
宮里 義彦 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 助教授 (30174155)
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Keywords | 適応制御 / 非線形制御 / H無限大制御 / 分布定数系 / ニューラルネット / 非ホロノミック系 / ポリトピックシステム / 力制御 |
Research Abstract |
本研究では、非線形H無限大制御(適応制御、非線形制御、ロバスト制御、H無限大制御など)の方法論を発展させ、必要に応じて知的制御の分野の諸手法(ニューラルネット、ファジィ制御、遺伝的アルゴリズムを含む確率的算法、強化学習など)との融合をはかりつつ、複雑な環境の変動のもとで高い適応性を有する、ハイブリッド型適応学習制御システムの構築を行うことを目的とする。このような研究により適応制御、制御科学、知的制御の従来の枠を広げて、それらを含む新たな研究分野の創成とその理論体系の整備も行う。 今年度は特に以下のような成果を得た。 1.逆最適化に基づく適応H無限大制御の手法を、無限次元系である分布定数系の有限次元制御問題に適用した。放物型分布定数系と双曲型分布定数系に対して、スピルオーバー項を外乱と見なすことで、有限次元補償器で安定な適応制御系が実現されることを示した。関連する成果が2編の論文として発表された。 2.ポリトープ型LPVシステムに対するモデル追従型の適応H無限大制御系の構成について研究を行った。端点システムに対応するオブザーバ表現を用いて、部分的情報を持つシステムのモデル追従制御方式を考案し、さらに未知パラメータが時間変化する時も、H無限大制御問題の解として導出される安定化信号を用いて、良好な制御性能が実現されることを示した。関連する結果が1編の論文として発表された。 3.ニューラルネットなどの非線形パラメトリックモデルを含む系の非線形適応H無限大制御系の構成について研究を行った。非線形パラメトリックモデルの近似誤差と算法上の誤差を外乱と見なしたH無限大制御問題の形式で制御系を構成することにより、安定性と性能の保証される非線形制御系が実現されることを示した。あわせて同様のアプローチの簡略型制御系設計法についても研究を行った。関連する結果が2編の論文として発表された。 4.拘束条件下で軌道を力を同時に制御する方式(軌道と力のハイブリッド制御)の研究を行った。簡単な線形機械系に対してH無限大の制御指標に基づく設計法の提案を行い、従来法よりも優れた過渡特性を有しながら軌道制御と力制御が達成されていることを確認した。 5.非ホロノミック車両型ロボットの適応型軌道追従H無限大制御方式について研究を行った。速度追従誤差とパラメータ推定誤差を等価的な外乱と見なしたH無限大制御問題に対して最適な軌道追従制御系が達成されることを確認した。
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