2007 Fiscal Year Annual Research Report
大河川起源の淡水流入が大スケールの閉鎖性内湾の水環境や生態系へ与えるインパクト
Project/Area Number |
18560500
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢野 真一郎 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (80274489)
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Keywords | エスチャリー / 水質 / 生態系 / 沿岸域 / 物質輸送 / 潮流 / 乱流拡散係数 / 乱流微細構造 |
Research Abstract |
筑後川から有明海に流入した淡水の挙動を把握するために、GPS付き漂流ブイを利用したLagrange的観測を実施した。潮汐条件が中潮の2007年7月17目と、大潮の同年7月28日に現地観測を実施した。観測項目は、淡水塊の挙動(座標)、流速、成層構造(塩分・水温)、水質(濁度・クロロフィルa・pH)、風向・風速である。観測は半潮汐間(約8時間)にわたって連続的に行った。両観測と前年度の観測結果より得られた主な知見は、以下の通りである。(1)風が弱い時、筑後川から有明海に流入した河川水の、南北方向の運動に対しては圧力傾度力が、東西方向にはコリオリカが支配的である。(2)風が弱い時、筑後川から流入した河川水は一潮汐で西へ輸送され、移動距離は河川流量に依存する。特に、出水時は対岸の太良地先まで輸送され、一潮汐で諫早湾まで到達できる。(3)南風が強い場合、表層洗が風の影響を強く受け、河川水が東岸に停滞する。 次に水平方向と鉛直方向の乱流拡散係数を推定するために、漂流ブイを複数浮かべる観測と乱流微細構造プロファイラーによる現地調査をそれぞれ4回と2回ずつ実施した。これらの観測結果より、水平乱流拡散係数は河川水の流入などの局所的な条件で異なり、1〜10^2m^2/sのオーダーをとることが分かった。さらに、鉛直乱流拡散係数は成層度、潮汐、潮時により大きく変動し、10^<-7>〜10^<-3>m^2/sのオーダーで変化していた。 これらの成果は、有明海における流れの数値シミュレーションで未知のファクターである乱流粘性係数・拡散係数の評価と河川から流入する物質の湾内での輸送構造について、重要な知見を与えるものと考えられ、今後の計算精度の向上に寄与できると考えられる。
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Research Products
(12 results)