2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安田 陽一 日本大学, 理工学部, 教授 (40210265)
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Keywords | 河川環境 / 魚道 / 砂防施設 / 治山ダム / 生態系保全 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は渓流河川に生息する多様な水生生物の生態系保全に配慮して治山ダム,砂防ダム,流路工にどのような魚道が最適であるのかを水理学的に解明することである. 平成18年度における主な研究成果を以下に示す. (1)提案した傾斜隔壁型魚道(V宇型溝型魚道)の水理特性および生物調査した結果を発表した。特に,遡上調査結果から,提案したV字溝型魚道は対象河川に生息する遊泳魚ばかりでなく,底生魚,甲殻類が遡上できる落差2.0m,35%勾配を有する魚道であることが評価された.また,甲殻類の中でも登坂能力の弱い全長6mm前後の稚エビが魚道の水際を利用して遡上できていることを遡上記録から確認し,エビの生態系保全においてV字溝型魚道は重要な役割を果たしていることを確かめることができた. (2)台形断面魚道の形状・寸法によって魚道の流況特性がどのように変化するのか,また台形断面魚道内の流速特性がどのようになっているのかを実験的に解明しその成果を発表した.流況および流速特性の結果から,台形断面の側壁の勾配を2/3(水平2:鉛直3)以上にすると,水際付近の流れが緩み,多様な水生生物の遡上・降河しやすい環境を作り出すことが検証できた. (3)魚道の形状によって出水時に魚道内に侵入する礫の排出状況が大きく異なることを実験によって明らかにし,提案した台形断面魚道の形状が最も礫の排出効果が認められた成果を発表した.現地調査において,実際に施工された提案魚道には20cm以上の巨礫が排出され,魚道プール内で堆積が認められないことを検証した. (4)既設の河川構造物に魚道を張り出した状態で設置した場合,条件によっては出水時に魚道下流側で主流が偏向し,河川管理上好ましくない流れが形成されることを実験的に明らかにし,その対策を提案した.
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