2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属系薄板の座屈後繰返し構造特性を応用した軽量化耐震・制振要素の開発
Project/Area Number |
18560543
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
五十嵐 規矩夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40242292)
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Keywords | せん断 / 曲げ / 座屈 / 薄板 / 金属 / 繰返し荷重 / エネルギー吸収 / 耐震 |
Research Abstract |
本研究課題は,作用するせん断応力度がせん断降伏応力度以下で座屈するような金属系軽量薄板の繰返し履歴挙動に薄板の幅厚比,形状及び周辺枠剛性がどのような影響を及ぼすかを解明することを目的として実施した.その結果から繰返し挙動をモデル化するとともに,エネルギー吸収能力を明らかにし,繰返し座屈性能評価式を構築した. 本年度は特に,薄板をより効果的に活用し,薄板を用いた耐震・制振部材の開発に向けて申請者が考案した発展的手法の有用性を検証した上で,実用化のための具体的な製品開発に向けて実験を行い,金属系薄板部材に予め大変形を加えておく繰返し履歴安定化法を施した後の繰返し履歴特性の確認と,実用化に向けた繰返し履歴挙動のモデル化をおこなった. 具体的には, H形断面ウエブを対象に,幅厚比,周辺境界,繰返し履歴安定化のために予め与える変位量をパラメータとした載荷実験を行った.繰返し履歴安定化法を施した後(大変形繰返し後)の載荷履歴は,正負交番漸増変位繰返し載荷とした.この繰返し履歴特性を明らかにするとともに,最終的なエネルギー吸収能力を整理した.その結果,大変形繰返し後の履歴安定化のための幅厚比範囲を確定するとともに,周辺境界条件についは適度な剛性が必要なこと,初期に与える大変形範囲は,地震等による予測応答変位の3倍程度を見込んでおけば良いことを明らかにした.この実験により,これまで敬遠されがちであった,薄板を用いたせん断パネルをエネルギー吸収要素として使用することの可能性を示した.またその具体的な手法についてもある程度の方向性を示した. 本研究全体を通して,構造部材として薄板を有効活用する方法の一端を示せており,今後の薄板構造の発展に寄与する資料を示せたと考えている.
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