2008 Fiscal Year Annual Research Report
西欧人の見た近世町家の特質と地方性 -ライデン博物館所蔵模型の検討を中心に-
Project/Area Number |
18560635
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
波多野 純 Nippon Institute of Technology, 工学部, 教授 (40049721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 憲治 日本工業大学, 工学部, 助手 (30337513)
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Keywords | 町家 / 町家模型 / オランダ / 長崎 / 近世 / 国際情報交換 / ブロムホフ / シーボルト |
Research Abstract |
本研究は、ライデン国立民族学博物館所蔵の日本の町家模型を通して、近世の町家に関する従来の理解を、西欧人の目という新たな視点から見直し、再構築することを目的とする。 18、19年度は、町家模型7件について建築的特徴を明らかにした。また、シーボルト『日本』の挿図が模型と酷似することを指摘した。20年度には、挿図と模型を比較検討した。 1.『日本』に示された平面図の検討『日本』には、2件の模型(「魚屋・菓子屋」、「屋敷」)に対応する平面図が示されている。平面図を実測した結果、「魚屋・菓子屋」の平面図は、桁行梁間ともに1間=6.5尺を基準とした。「屋敷」の平面図も同様に1間=6.5尺を基準とするが、土間部分は狭く(6.05尺)、台所は広く(6.95尺)なることから、土間や台所には、別の設計方法が採用された可能性がある。また、平面図は模型を基に正確に作図された。 2.町家模型の制作基準寸法7件の模型の制作基準寸法には3タイプがあり、仕様も若干異なることから、複数の制作者の手になることが予測される。また、桁行と梁間で制作基準寸法を使い分けるなど、町家の設計方法に精通した者でないと作れない模型であることが分かる。 3.『日本』に示された外観図の検討『日本』には、6件の模型に対応する外観図があり、描写内容は模型と正確に一致した。外観図は模型がライデンに送られた後に、ライデンの画家によって、模型を見ながら忠実に描かれたものであり、日本で町家を実見して描いたものではない。 4.模型の制作目的町家模型は、日本の町家の構成や意匠、大工技術までが忠実に表現され、西欧人に日本人の生活空間を伝えようとする意図が伺える。また、『日本』の平面図や外観図は、模型を基に描いたものであり、直接日本の町家を見て描いた1次資料ではない。
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Research Products
(1 results)