2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合材料創成のための高分子流体のマイクロ流路内流れにおける流動誘起構造解析
Project/Area Number |
18560667
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (80239756)
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Keywords | バクテリアセルロース / コンポジット / 成形加工 / 流動特性 / レオロジー特性 / 流路内流れ |
Research Abstract |
ナノスケールの微細繊維からなるバクテリアセルロース(以下ではBCと称す)を分散させた流体の流路内流れについて検討した。この繊維をグリセリンに0.2wt%および0.05wt%だけ分散させた流体を試料流体とした。BC流体の定常せん断粘度および動的粘弾性をレオメーターで測定することにより,BC流体はシェアシニング粘性と弾性を持ち合わせる流体であることがわかった。また,いずれの特性も,BCの濃度が大きな0.2wt%流体のほうが顕著な粘弾性を示した。 これらの流体を用いて,矩形断面を有する流路内における流れを可視化した。本年度は比較のために大きなサイズの流路をとりあげた。矩形断面は幅が8mm,高さが10mmである。この矩形管は途中に4:1の急縮小部を有している。本研究では,BC流体にポリスチレンビーズを少量だけ添加することでトレーサーとし,この急縮小部における速度分布を計測した。急縮小部から十分に上流にある位置では,グリセリンは放物線状の速度分布を示すが,BC流体では中央部が平らになったプラグフローに近い速度分布となった。またBCの濃度が上昇すると,さらに台形に近い速度分布となった。これはBC流体のもつシェアシニング粘性が原因である。また,急縮小部でも同様の傾向が見られた。 次に,急縮小部の上流角部に生じる循環二次流れの流れ方向の大きさを調べた。その結果,BC流体ではグリセリンよりも大きな渦となり,またBCの濃度が上昇するとともに渦も大きくなった。これはBC流体の伸長粘度特性に起因する現象であると考えられる。伸長粘度は測定が一般に困難なために,BC流体の伸長粘度特牲は測定できなかったが,粘弾性の顕著な流体ほど大きな伸長粘度を有する傾向にある。したがって,BC流体でグリセリンよりも大きな渦が観察されたのは,急縮小部で伸長粘度が増大し,それにともなって急縮小部において伸長応力が増大し,それを回避するために渦が増大して伸長応力を少しでも低下させようとするメカニズムが働いているものと考えられる。
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