2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合材料創成のための高分子流体のマイクロ流路内流れにおける流動誘起構造解析
Project/Area Number |
18560667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (80239756)
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Keywords | 複雑流体 / マイクロ流れ / 円柱まわりの流れ / 複屈折 / 配向角 / 非ニュートン流体 / 流動誘起構造 / 伸長流れ |
Research Abstract |
複合材料の金型内によくみられる邪魔ピン(円柱)まわりの流れをとりあげた。高分子流体の内部構造を反映する流動複屈折をレーザーを用いて精密に測定した。このとき用いた円柱の直径は550μmであり,顕微鏡の対物レンズを集光レンズとして用いることでレーザーのビーム径を約6μmまで細線化した。これにより,微小な物体まわりのマイクロ流れにおいても100μmステップの空間分解能で複屈折を測定できる光学系を開発できた。円柱まわりの流れは大きく分けて次の領域に分けられる。(1)円柱のずぐ上流部における減速流れ,(2)円柱を通過するときの加速・減速流れ,(3)円柱下流部における加速流れである。領域(1)においては,十分上流部からよどみ点にかけて,複屈折がいったん小さくなったあと,大きくなり,減速流れの影響が現れた。分子の配向方向は,十分上流部で流れ方向であったが,よどみ点付近で流れと直交方向となった。領域(2)では,阿加速域では複屈折が増大し,減速域では低下した。さらに領域(3)では,ウェルドライン付近での伸長流れにより,複屈折が大きくなり,十分下流域において一様な流れとなったあとにも複屈折が大きいまま維持された。これらの結果から,流体の内部構造の異方性は,せん断流れや伸長流れに大きく依存するが,とくに伸長流れの影響が大きいことが明らかとなった。さらに,急縮小部を有する流れ場においても同様の測定を行い,急縮小部においてもやはり伸長の影響が複屈折に大きく影響した。また,角部に生じる循環二次流れ中においては,流速がたいへん遅いため,複屈折は非常に小さくなった。以上の結果から,内部構造の変形の程度の分布を微小なサイズの流路において明らかにすることができた。
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