2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高須 夫悟 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70263423)
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Keywords | 進化動態 / 個体群動態 / 確率論的効果 / 寄生系 / 共進化 / 個体ベースモデル / 数理モデル |
Research Abstract |
平成18年度に実施した研究の結果、以下の成果を得た。 1.モデルの構築と解析 1種系及び2種系の個体群動態・進化動態を記述する確率論的個体ベースモデルを構築した。具体的には、集団を構成する個体に形質(戦略)を割り振り、形質値に依存した個体の出生・死亡過程及び個体間のi-state相互作用をアルゴリズムとして記述し個体ベースモデルを構成した。個体数と形質値の動態がそのまま個体群動態並びに進化動態としてシミュレーション可能である。個体ベースモデルに対応する、P-stateに関する決定論的モデルを導き両者の振る舞いを比較した。その結果、特に2種系において、個体数の確率論的変動が2種の進化動態に大きく影響することをシミュレーション実験により明らかにし、その理由を解析的に導いた。 さらに、空間構造を導入した確率論的個体ベールモデルを構築し、その解析的取り扱いの目処を立てた。具体的には、個体間の距離のモーメントに注目することで、シミュレーションの振る舞いを解析的に明らかにする手法に取り掛かった。 本研究と関連して、確率論的効果が生物集団の分布域拡大に及ぼす影響について解析した論文を国際誌に発表した(Kawasaki et al., Ecological Research, 2006)。また、寄生者・宿主系において空間構造が進化動態に及ぼす影響について論じた論文を国際誌に発表した(Roskaft et al., Behavioral Ecology, 2006)、 2.確率論的進化動態に関する国際交流 平成18年12月に進化動態に関する理論研究の中心的存在であるオーストリア国際応用システム分析研究所を訪問し、滞在中に確率論的進化動態の解析的取り扱いに関する議論、最新情報の交換を行った。これを基盤として平成19年度の研究を展開する予定である。
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Research Products
(2 results)