2007 Fiscal Year Annual Research Report
孔辺細胞カルシウムシグナリングにおける葉緑体の役割の再評価
Project/Area Number |
18570048
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椎名 隆 Kyoto Prefectural University, 人間環境学部, 教授 (10206039)
|
Keywords | 気孔 / 葉緑体 / Ca^<2+> / CAS / チラコイド膜 / リン酸化 / 光 |
Research Abstract |
本研究では、光合成器官である葉緑体が細胞質のCa+シグナルの制御と、気孔運動の制御に関わっていることを明らかにし、葉緑体の新しい機能を解明する研究を行ってきた。前年度までの研究で、細胞外Ca2+センサーとして細胞膜に局在すると考えられていたCASが、実は葉緑体チラコイド膜に存在し、気孔の閉鎖運動と細胞質Ca2+スパイクの発生に関係していることをこれまでに明らかにした。一方、CASは葉肉細胞や表皮細胞でも発現していることから、孔辺細胞以外の葉緑体をもつ細胞でも何らかの役割を果たしていると考えられる。以前Saiらが報告している様に(Plant Cell 2002,14,1279)、葉緑体ストロマのCa2+濃度は、植物を明所から暗所に移すことで20-30分後をピークにした一過的上昇を示す。今回、この暗処理で誘発されるストロマCa2+濃度の一過的変動が、cas変異体では大きく遅れることを明らかにした。この結果は,CASがストロマCa2+レベルの制御に直接関わっている事を示唆しいている。また、暗処理によって、ストロマCa2+レベルの上昇に引き続き細胞質のCa2+レベルが上昇するが、cas変異体では見られない。CASは葉緑体から細胞質へのCa2+シグナルの伝達にも関わっていると考えられる。さらに、CASがリン酸化タンパク質で、光依存的なリン酸化を受けることも明らかにした。
|