2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞におけるヘテロクロマチンとユークロマチンの分子構築の解析
Project/Area Number |
18570061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田中 一朗 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 教授 (60175445)
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Keywords | 栄養核 / 花粉 / クロマチン / 抗体 / 修飾 / テッポウユリ / ヒストン / 雄原核 |
Research Abstract |
ユークロマチン核を有するテッポウユリ花粉内の栄養細胞で特異的な発現が示されたヒストンH3.3に関して、それが栄養核クロマチンの構築に実際に関わっているかどうかを明らかにするために、このヒストンH3.3のみを認識する特異的抗体を作製し、ウェスタンブロット法や蛍光抗体法を用いて、ヒストンH3.3の分布や局在を解析した。その結果、テッポウユリにおいては、このヒストンH3.3が根や葉のような体細胞組織には存在せず、花粉のみに検出されるとともに、そのシグナルは花粉内の栄養核のみにおいて確認された。高度にヘテロクロマチン化した雄原核には検出されなかったことから、このヒストンH3.3とクロマチンのユークロマチン化との関連が示唆される。しかしながら、ヒストンH3.3は動物では体細胞核の活性クロマチン部位に局在することが示されていることから、テッポウユリにおいても体細胞核での存在が予想されたが、それを検出することはできなかった。 一方、テッポウユリ以外の植物種(オオムギやムラサキツユクサなど)では、葉などの体細胞においてヒストンH3.3の存在が確かめられたことから、ヒストンH3.3の花粉特異性はテッポウユリ独自の現象と判断された。そこで現在、ゲノムサイズとの関連性を調査中である。 また別に、雄原核と栄養核の分化過程において、ヒストンの修飾が起こっているかどうかを明らかにするために、市販の抗修飾ヒストン抗体を用いた調査を試みた。その結果、栄養核におけるヒストンH4のアセチル化やヒストンH3のLys4のジメチル化、雄原核におけるヒストンH3のLys9のジメチル化が確認されたのさ、実際のクロマチン形態との関連を現在解析中である。
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