2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80092352)
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Keywords | キャッチ結合組織 / 硬さ / 神経支配 / ナマコ / スティコピン / 棘皮動物 |
Research Abstract |
キャッチ結合組織(硬さ可変結合組織)は神経支配の下に硬さを変える結合組織である。結合組織を支配する神経など、生物界ではまったく知られていないため、何か特別のものがあるかを調べた。以前、われわれはナマコ体壁から、アセチルコリンの作用を修飾することにより硬さに影響するぺプチド(スティコピン)を発見している。この抗体を作成してナマコを染色したところ、スティコピン様の免疫反応(スティコピン-LI)が様々た結合組織中で見られ、その他の組織には見られなかった。 スティコピン-LIを示す細胞は大別して2種あった。一つは細長い突起をもつものであり、これは棘皮動物の神経特異的抗体である1E11でも染まるため神経だと思われる。もう一つは突起をもたない楕円形の細胞で、これには1E11で染まるものとそうでないものとがあった。 典型的なキャッチ結合組織である体壁には、スティコピン-LI神経繊維が豊富に見られた。キャッチ結合組織だと想像されている管足や総排泄口の結合組織中にも、同様の繊維が見られた。これらはキャッチ結合組織の硬さ変化を支配している神経だと考えられる。 棘皮動物の主要な神経系である放射神経は結合組織層により外層と内層に分けられる。スティコピン-LIは神経細胞や軸索の集まりである外層や内層には見られなかったが、結合組織層中に楕円形のスティコピン-LIを示す細胞の塊があった。電子顕微鏡観察では、これらは典型的な分泌細胞である。スティコピン-LI楕円形細胞の多くは神経上腔近傍や体腔近傍や水管系近傍の結合組織中に見られる。この位置から推測するに、これらは腔中に分泌されて運ばれるホルモン様のものと思われる。結合組織特異的な神経や分泌細胞が発見されたのは動物界で初めてのことだと自慢したい。
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