2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本川 達雄 Tokyo Institute of Technology, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80092352)
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Keywords | 生理学 / 動物 / キャッチ結合組織 / 棘皮動物 / ウニの歩行 |
Research Abstract |
キャッチ結合組織(硬さ可変結合組織)は神経支配の下に硬さを変える結合組織である。この結合組織の主な機能は姿勢維持にあると考えられてきたが、実証されてはいなかった。クリイロナマコ体壁のキャッチ結合組織が硬くなったときの酸素消費率と力学的性質を詳細に調べ、それと収縮中の体壁縦走筋の酸素消費率と力学的性質とを比べた。その結果、キャッチ結合組織を用いた方が、1/70もエネルギー的に得なことを見いだした。キャッチ結合組織は硬い状態、標準状態(刺激されていないときの状態)、軟らかい状態の3状態をとる。ナマコでは硬い状態と標準状態のみの酸素消費率を測定したが、パイプウニ棘関節のキャッチ結合組織(キャッチアパレータス)を用いて、3状態すべての酸素消費率を測定した。機械刺激によって硬くした時には、酸素消費率は標準状態の1.4倍であったが、ノルアドレナリンにより軟らかくした時には2.5倍だった。軟らかい状態とは、起き上がり反射の際など以外、それほど頻繁にとることのない状態であり、軟らかくなる方がエネルギーを使わないのは、適応的である。 キャッチ結合組織が働いている部位として管足がある。ウニの管足が歩行とどのように関わり、その際にキャッチ結合組織がどう働いているかをガンガゼを用いて調べた。水平面を歩く際には、速い歩行と遅い歩行の2種類の歩行が見られ、遅い歩行には管足が関わっていたが、速い歩行には、管足はまったく関与していなかった。垂直面を登る際には、管足のみならず、棘も働いており、その際、キャッチアパレータスの硬さ変化が寄与している可能性があった。
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