2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガマズミ属植物における共生器官ダニ室の多様性とその適応的意義の解明
Project/Area Number |
18570085
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 佐知子 Nagoya University, 博物館, 助教 (10311490)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 隆義 京都大学, 農学研究科, 助教 (60208189)
内貴 章世 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (30393200)
市岡 孝朗 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (40252283)
|
Keywords | ダニ室 / domatia / ガマズミ属 / サンゴジュ / クチクラ |
Research Abstract |
本年度は、1)ガマズミ属植物のダニ室と相互作用関係にあると推測される生物に対する、生態学的観察および実験、2)ダニ室の形態の多様性に関する解剖学的研究、3)ダニ室多様性の歴史的背景探索のためのDNAサンプル収集、以上三つの調査・研究を実施した。 1)生態学的観察および実験 ガマズミ属植物のダニ室にどのような生物がいるのか、これらの生物が植物にどのような役割を果たしているのかを明らかにするため、観察とともに操作実験を実施した。 調査は、おもに沖縄で行った。まず春、自然状態におけるガマズミ属植物を観察し、ダニ室内に生息するダニなどの種類・生態を調査した。また、ガマズミ属サンゴジュの葉をもちいて、ダニ室を塞ぐ実験を行った。これらの葉は秋に回収し、スキャンした画像と実際の葉の解剖から、葉の被食状態・葉にいる生物種・数を調査した。また、春と秋の葉の一部を菌類研究者に送り、菌の繁殖状態について調査を依頼した。その結果、ダニ室を塞いだ葉と塞がなかった葉では、被食や菌の繁殖に大きな差は見られないことが明らかになった。これらのことから、ダニ室が、葉の適応度を高めるためだけに存在しているのではない可能性が示唆された。 2)解剖学的研究 前年度につづき、ガマズミ属植物のダニ室などの形態を比較・研究するため、ミクロトーム切片およびクチクラ観察による解剖学的研究を行った。これらの研究では、ガマズミ属の葉を、ダニ室を多数持つことで知られるクスノキ科の葉と比較した。前年度同様、比較の過程で、クチクラの分類学的有用性について新たな知見が得られ、副産物的研究成果があった。 3)DNAサンプル収集 歴史的背景の探索に必要な遺伝子による系統樹作成に向け、調査地や標本室より、ガマズミ属植物各種の葉を採集し、DNA抽出を開始した。
|
Research Products
(1 results)