2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570087
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古屋 秀隆 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (20314354)
|
Keywords | ニハイチュウ / 系統分類 / イントロン / Pax遺伝子 / Zic遺伝子 / 共進化 / 宿主特異性 / 頭足類 |
Research Abstract |
(1)分類 富山湾産のミズダコから再発見された1種のニハイチュウ(Dicyemennea nouveli)の再記載をした。また、瀬戸内海産シリヤケイカから1種(Dicyema sepiellae)の新種を発見し記載した。 (2)系統 ニハイチュウの前口動物内での系統関係をPax、Zic、およびギャップ結合のタンパク質のイネキシン遺伝子のアミノ酸配列を明らかにし、系統樹を作成して解析した。その結果、ニハイチュウはどの系統樹でも螺旋型卵割動物の系統に近いことを明らかにした。 (3)進化 ニハイチュウの40遺伝子から210個のイントロンのサイズを調べたところ、いずれの遺伝子についても、そのイントロンの長さが動物にみられるイントロンの最小サイズ(平均26.1bp;最頻値23bp)であることを明らかにした。ニハイチュウのイントロンには、イントロンのスプライシングに必要なbranchsiteとpolypyrimidine tractの配列が見られないことから、これら配列なしにスプライシングが起きている可能性が示された。 (4)共進化 ニハイチュウと頭足類との関係(宿主特異性や共進化)を明らかにするため、日本沿岸産の頭足類13種の系統関係とそれらに寄生する16種のニハイチュウについて、ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列を明らかにした。現段階では、ニハイチュウ類の系統に関しては、アマダコ、イイダコ、マダコにみられる種どうしは、異なる宿主の間の種よりも近縁であり、頭足類と共進化してきたことが示唆された。その一方でコウイカやアオリイカにみられるニハイチュウ類はそれぞれ他の宿主にみられるニハイチュウ類と近縁であるなど、宿主を変えた可能性が示された。
|
Research Products
(5 results)