2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570092
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
秋山 弘之 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 准教授 (70211696)
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Keywords | 屋久島 / 蘚苔類 / フロラ / ライントランゼクト |
Research Abstract |
今年度の成果は以下の4つに大別される. 1.今回の調査とこれまでに屋久島の蘚苔類について報告されたすべての文献を使って,新しい屋久島蘚苔類リストを作成した.またこれにともない新種を報告した(投稿中). 2.主要登山道沿いに設けられたライントランゼクトでの調査結果をまとめた.特に希少種が集中して分布している場所の特定することができたのは成果の一つである.この結果については,現在報告をとりまとめている段階で,2009年度中に投稿する予定である. 3.高地に分布するヘチマゴケ属の2種(キヘチマゴケとツブツブヘチマゴケ)について,土壌水分に違いによって両種の画然とした棲み分けが見られることを,ライントランゼクトを利用したサンプリングで得られたデータの解析から実証することができた.この結果についてはすでに論文にまとめ,受理されている. また,無性芽を持つヘチマゴケ属について,屋久島での調査から得られた知見を加えて,日本に産する全種についての分類学的再検討を行い,これも論文として出版した. 4.屋久島にも広く分布するケゼニゴケを対象として,倍数性ならびに集団内の遺伝的多様性についての調査を行った.解析対象サンプルは,屋久島の3集団および屋久島を除く日本国内の集団を対象とした.その結果,島内において2倍体ならびに3倍体両方の集団が確認され,2倍体は低地に,3倍体はより高度の高い場所にそれぞれ棲み分けていることがわかった.屋久島以外の国内ケゼニゴケ集団との間には,特筆すべき遺伝的な相違点は見いだされなかった.この結果については2009年度中に論文としてまとめる予定である.
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Research Products
(4 results)