2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570098
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 現人 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 研究主幹 (10280520)
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Keywords | 形態学 / 進化 / 臀鰭棘 / 担鰭骨 / 軟エックス線画像 / 棘鰭上目 / カサゴ目 / スズキ目 |
Research Abstract |
昨年度までに調査が及ばなかった棘鰭上目の科に含まれる約50種を中心に臀鰭棘とその担鰭骨の状態のデータを収集した.これまで撮影した軟エックス線フィルムのデジタル化を進め,臀鰭各棘間のサイズの関係,臀鰭棘担鰭骨の形状の変異,臀鰭棘・背鰭棘のサイズの関係,臀鰭棘・背鰭棘の位置関係等を150科約400種に基づいて調査した.遊泳性魚種には臀鰭棘の退化と担鰭骨の変形が観察された.大きな臀鰭棘をもつ種は同時にそれを支える担鰭骨も発達する傾向が確認された.鰾をもつ種では臀鰭棘担鰭骨と鰾が接している場合が見られ,臀鰭棘が障害物との接触による振動を伝達する役割がある可能性が考えられたが,精査には至らなかった.この仮説の検証には棘の摩耗状態の観察や骨伝導を調べる実験の必要性がある.臀鰭棘・臀鰭担鰭骨の位置関係を表現する式の作成を試み,脊椎骨を基準とした方法の開発を行った.この式は各種の特徴を記述できるだけでなく,分類群間の比較を容易にすることが期待される. 標本の軟エックス線フィルムを精査する過程で国内の標本にスズキ目タウエガジ科の未記載属・未記載種とカサゴ目イボオコゼ科マスダオコゼ属の未記載種を発見し投稿の準備を行った.マスダオコゼ属では未記載種と既知種の間で臀鰭棘の形質に違い見出せなかった.タウエガジ科の未記載属・種では臀鰭,胸鰭および腹鰭が顕著に伸長するが,臀鰭棘の長さは既知種の範疇に収まり,臀鰭軟条よりも保守的であることが示された,近縁種間では唇鰭担鰭骨の間隔にも変異が認められ,分類形質としての有効性が示唆された.
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