2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80032283)
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Keywords | 構造性色素 / ビリン環元酵素 / フェレドキシン / 表面電荷 / ビリベルジン |
Research Abstract |
生物は光をエネルギー源や環境情報として利用しており、光受容タンパク質がこの機能を担っている。このようなタンパク質を構成する色素として、紅藻やラン藻ではクロロフィルに加えてビリン化合物を用いている。ビリン化合物の合成は、ヘムオキシゲナーゼ(HO)によるヘムの開環から始まり、この反応によって生成したビリベルジン(BV)は、フェレドキシン依存性ビリン還元酵素によって、幾つかのビリン化合物に代謝される。ビリン還元酵素は、共通してフェレドキシン(Fd)から供給された電子を使うが、各々はBVの異なった箇所を特異的に還元する。本研究で取りあげたPcyAは、BVの互いに離れた箇所を、2段階で、立体特異的に、しかも順序正しく還元するという特徴を持っている。PcyA-BV複合体の結晶を調製し、X線解析により立体構造を決定した。PcyAはU字型にしたBVを、BVのわずかな非対称を厳密に区別して捉えていた。U字型をしたBVの中央で、BVのD環を還元するアミノ酸残基を特定した。D環の還元に伴い、このアミノ酸側鎖が構造変化してA環を立体特異的に還元する。このように一つのアミノ酸残基がコンフォメーションを変えて、基質の異なる部位を、一定の順序で還元するという新規な機構を提案した。また、PcyAの分子表面では、BVを結合した領域が正電荷に、他の領域は負電荷を持つという際立ったコントラストをなしていた。Fdの表面は負電荷を持つので、効率良くFdがPcyAの活性部位に結合し、電子がFdから特異的に供給されるという説明ができた。さらにPcyAのみの結晶構造から、BVがPcyAに結合することに伴う構造変化がわかった。興味深いことに、BVがPcyAに結合するとPcyAの表面電荷分布がFd認識に適したように変化することがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Crystal Structures of BchU,amethyltransferaseInvolvedinBacteriochlorophyll c Biosynthesis, and its Complex with S-Adenosylhomocysteine : Implications for Reaction Mechanism2006
Author(s)
K.Wada, H.Yamaguchi, J.Harada, K.Niimi, S.Osumi, Y.Saga, H.Oh-oka, H.Tamiaki, K.Fukuyama
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Journal Title
Journal of Molecular Biology 360・4
Pages: 839-849
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