2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵素の立体構造に基づくスフィンゴ脂質生合成と分解の制御機構の解明
Project/Area Number |
18570114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
生城 浩子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10280702)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / セリンパルミトイル転移酵素 / PLP酵素 / 酵素反応機構 / タンパク質立体構造解析 |
Research Abstract |
セリンパルミトイル転移酵素(SPT)の触媒反応における外アルジミン中間体生成以降の過程を解析するために,非分解性アシルCoA誘導体を合成した.この誘導体をSPT外アルジミン中間体に添加しても反応生成物であるKDSは生じず,代わりに新たな吸収スペクトルの変化が観測された.速度論的解析から,アシルCoA誘導体の結合によってキノノイド中間体の生成・蓄積が誘導され,キノノイド中間体と外アルジミン中間体の平衡状態で反応が止まっていることが示された.そこで,重水中でのL-セリンの^1H-NMRを測定することにより,SPTによるL-セリンCα位の水素-重水素交換速度を解析した.L-セリンにSPTとアシルCoA誘導体の両者を加えた場合の交換速度は,SPTのみを加えた場合に比べ100倍以上増加した.すなわち,アシルCoA誘導体の結合によってL-セリンα位脱プロトン反応(キノノイド中間体形成)が著しく促進されることが確かめられた.以上の実験結果に基づいて,下記のような反応制御機構を想定することが可能となった.基質遊離型の酵素においては,活性中心のLys残基とPLP間で分子内シッフ塩基が形成されている.アミノ酸基質のL-セリンが酵素に結合すると,イミノ基転移によって基質のアミノ基とPLP間に新たなシッフ塩基が形成される.次に基質α位の脱水素により,反応性の高いキノノイド中間体になる.パルミトイルCoAのチオエステル部分への求核反応に続くCoASHの脱離と脱炭酸により,生成物の3-ケトジヒドロスフィンゴシンが生じる.生成物が酵素から解離すると,活性中心で酵素のLys残基とPLP間の分子内シッフ塩基が再生する.
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Research Products
(2 results)
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[Book] Structural Biology of Sphingolipid Synthesis. in Sphingolipid Biology (Hirabayashi, Y., Igarashi, Y., Merrill, A., Eds.)2006
Author(s)
Ikushiro, H., Okamoto, A., Hayashi H.
Total Pages
10
Publisher
Springer-Verlag Tokyo/Japan (pp.483-492(2006))