2006 Fiscal Year Annual Research Report
IP3レセプターがチャンネル以外の機能分子として働く可能性について
Project/Area Number |
18570122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水谷 顕洋 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30242861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 直哉 香川大学, 希少糖研究センター, 客員助教授 (10332280)
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Keywords | IP3レセプター / IRBIT / 小脳 / シナプス可塑性 / リン酸化 |
Research Abstract |
本年度は、IP3レセプターに結合する新規蛋白質IRBITの生理機能解明を中心に研究を行った。IRBITはIP3レセプターのIP3結合領域にIP3と競合的に結合するが、これには、IRBITがリン酸化されていることが必要である。また、IP3と競合的に結合することから、細胞内でIP3濃度が低い時(非刺激時)には、IP3レセプターに結合しており、一度IP3濃度が上昇すると(刺激時)IP3によりIRBITがIP3レセプターから遊離されることが想像される。従って、IRBITの機能としては、非刺激時(IP3レセプターと結合した状態)と刺激時(IP3レセプターから遊離した状態)との2つの相で考える必要がある。 非刺激時の機能解明のため、IRBITのIP3レセプターに対する結合に必須なリン酸化部位の同定とIRBITがIP3レセプターに結合した場合のIP3レセプターからのカルシウムイオン放出機能に対する影響を検討した。その結果、IRBITのN末領域に存在するSer-rich領域中のSer68,Ser71,Ser74,and Ser77の4つのSer残基のリン酸化が、IP3レセプターとの結合に必須で、この内、1個でもリン酸化がなされないと、IP3レセプターとの結合が消失することを明らかにした。また、IRBITが少なくとも2量体以上のmultimerを形成した時にのみIP3レセプターと結合しうることも見出した。In vitro実験において、IRBITは、IP3が結合する際に必要とするIP3レセプターのIP3結合領域に存在する塩基性アミノ酸の多くを、その結合に必要とするにも関わらず、IRBITはIP3の機能、即ち、IP3レセプターチャネルを開いた構造にする機能は有しないこと、寧ろ、IP3と競合的に働くことで、IP3レセプターのIP3感受性を低くしていることを、それぞれ明らかにした。これらの事象が生きた細胞内でも起きていることを、IRBITのsiRNA、及び、IRBIT-S68A変異体をdominant-negativeとして発現させたHeLa細胞のATPに対するIICR活性を調べることで明らかにすることが出来た。 刺激時の機能解明のために、IRBITのIP3から「遊離された後」の標的蛋白質を見つけるため、マウス小脳の膜画分から、IRBITを免疫沈降した時に共沈殿する分子を探索したところ、pancreatic Na^+-HCO3^--co-transporter(pNBC1)をIRBITの標的蛋白質の一つとして同定した。IRBITはIP3レセプターに対すると同様、IRBITの4つのSer残基のリン酸化が必須で、pNBC1の活性化にIRBITとの結合が必須であることを明らかとした。
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