2006 Fiscal Year Annual Research Report
三倍体オニユリにおいて発現する高い有性繁殖能力の進化的背景と遺伝機構の解明
Project/Area Number |
18580026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
比良松 道一 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (30264104)
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Keywords | 三倍体 / 有性生殖 / オニユリ |
Research Abstract |
1)三倍体オニユリ×コオニユリの三年生一代雑種実生の染色体数とムカゴ着生の有無を調査したところ,三倍体オニユリと同数の36本の染色体数を保有し,ムカゴを着生する実生が一個体検出された.このことから,三倍体オニユリがコオニユリとの交雑によって再生産されていることが示唆された.一方,一代雑種実生のうち8個体が三倍体と二倍体であったのに対し,65個体(89%)は異数体であった.実生の染色体数と生長量,形態の間に密接な関係はなく,三倍体や二倍体と同程度かそれ以上に生長する異数体実生が多数見られたことから,異数体実生が正倍数体よりも生存しにくいとは言えなかった. 2)三倍体オニユリの起源を実験的に検証するためにはオニユリやコオニユリの二倍体配偶子が多数必要である.そこでオニユリ,コオニユリの二倍体配偶子を短期間に得る方法として,花茎頂部に対するコルヒチン倍加処理の有効性を検討した.約10cmに伸長した二倍体オニユリとコオニユリの花茎頂部に0.1%コルヒチンを6時間おきに4回滴下処理したところ,いずれの種においても10個体中1個体から二倍性の細胞と四倍性の細胞をあわせ持つ花茎が伸長し,開花した.倍加処理後に開花したオニユリに二倍体オニユリの花粉を交配したところ発芽可能な種子が得られた.したがって,茎頂への倍加処理は様々なゲノム組合せの三倍体を育成するのに有効である. 3)三倍体オニユリの高い有性繁殖能力を利用したユリの育種方法の確立を見据えて,三倍体オニユリと様々な二倍体園芸品種との相互交雑を行った.三倍体オニユリを種子親に,二倍体園芸品種を花粉親に用いた場合,発芽可能な種子は得られなかった.交配組合せごとの結実率は0〜9.5%,得られる完全種子数は0〜17粒と変異が見られたことから,三倍体オニユリの有性繁殖能力の発現が花粉親遺伝型の影響を受けることが示唆された.
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Research Products
(1 results)