2007 Fiscal Year Annual Research Report
三倍体オニユリにおいて発見する高い有性繁殖能力の進化的背景と遺伝機構の解明
Project/Area Number |
18580026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
比良松 道一 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (30264104)
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Keywords | 三倍体 / 有性生殖 / オニユリ |
Research Abstract |
1.日本において遺伝的・地理的に分化している三倍体オニユリが韓国においても同様の分化を遂げているかを明らかにするためにアイソザイム分析を行った。その結果、韓国の三倍体オニユリは少なくとも6種類のクローン型に分化しており、さらに、このうちの少なくとも4種類は新規のクローン型であることが明らかとなった。また、二倍体オニユリの分布域周辺には見られないクローン型が存在することから、韓国の三倍体オニユリも日本の三倍体オニユリのように地理的に分化していることが明らかとなった。 2.どのようなゲノム構成の三倍体オニユリが得られやすいかを実験的に確かめるためにオニユリおよびコオニユリの倍加処理を行い、得られた倍加個体と二倍体オニユリおよびコオニユリとの交配を行った。倍加処理の結果、コルヒチン溶液0.05%、0.1%の濃度で四倍体オニユリが合計3個体得られた。コオニユリについてはキメラ個体が得られたものの、四倍体は得られなかった。得られた四倍体オニユリと二倍体オニユリ、コオニユリの相互交配の結果、種子親にコオニユリ、花粉親に四倍体オニユリの組合せでは、着果した全ての果実において完全種子が得られ、平均で5.2粒の種子が得られた。このことから、コオニユリのゲノムを1組、オニユリのゲノムを2組持つ異質三倍体が得られやすいことが示唆された。 3.三倍体オニユリの有性繁殖能力が二倍体花粉親の種類に関連があるかを調査するため、三倍体オニユリを種子親に種々の二倍体種を花粉親に用いた交配を行った。その結果、コオニユリ以外の二倍体種を用いた交配では完全種子が得られなかった。しかしながら、着果率は花粉親として用いる二倍体種の系統間で異なったことから、三倍体オニユリの有性繁殖能力は花粉親の遺伝子型の影響を受けることが示唆された。
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Research Products
(1 results)