2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
杉浦 明 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (00026379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10211997)
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Keywords | 不定胚形成 / 不定眼形成 / 直物ホルモン / ファイトスルフォカイン |
Research Abstract |
果樹類の組織・細胞培養系において植物体の再生は不定芽形成か不定胚形成かのいずれかを経て行われるが、繁殖効率や遺伝子組み換えの観点からすれば、不定胚形成による植物体の再生が行われることが望ましい。そこで、本研究においてはとくに不定胚形成の誘導因子を不定芽形成条件と比較しながら究明することを目的として行った。供試材料としてはカキを用い、不定芽形成のためには成熟相にある休眠芽よりカルスを誘導し、不定胚形成のためには未熟種子の子葉及び胚軸よりカルスを誘導した。休眠芽由来のカルスは植物ホルモンのゼアチンとIAAとの組合せで誘導され、次いでIAAを1/10濃度に下げた培地にこれを継代培養することによって常に不定芽形成が誘導され、さらに継代培養を繰り返すことによって不定芽形成率が高まった。いっぽう、未熟子葉及び胚軸由来のカルスはベンジルアデニン(BA)と2,4-Dの組合せによって誘導され、次いでホルモンフリーの培地に継代培養することによって2次的に不定胚が誘導された。そこで、ゼアチンとIAAで誘導された休眠芽カルスをBAと2,4-Dの組合せ培地に移して継代培養を行ったが、不定胚を誘導することはなく、また、再度不定芽を誘導することもなかった。他方、未熟子葉・胚軸からはBAと2,4-Dの組合せで培養したカルスで不定胚が誘導されたが、BAまたはゼアチンとIAAとの組合せ培地では不定胚も不定芽も誘導されることはなかった。他の木本植物において不定胚形成を高めることが報告されているファイトスルフォカイン(PSK)をホルモンフリーの培地に添加したところ、不定胚形成がやや促進される傾向がみられた。今後はさらに器官の種類や組織の幼若性に関わる因子と不定胚形成との関係を明らかにしてゆきたい。
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