2007 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ発生卵における脂肪滴含有状態の超微形態学的検討
Project/Area Number |
18580051
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山濱 由美 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 教務員 (90242784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊切 葉子 浜松医科大学, 技術部, 技術専門職員 (20397409)
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Keywords | カイコ / 卵 / 胚発生 / 脂肪滴 / 脂肪染色 / 電顕観察 / 高圧凍結・凍結置換法 |
Research Abstract |
昆虫の胚発生を明らかにすることは,動物の胚発生現象全般の理解に極めて重要である。本研究では,特に初期胚のエネルギー供給機構に注目し,脂肪滴含有量の多いカイコ卵を用い胚発生過程での脂肪滴の局在変化と消費について組織化学的、生化学的解析を行った。特に高圧凍結、凍結置換法を応用し通常の解析法では観察が難しいとされる発生卵の脂肪滴含有状態の空間的、経時的変化についての超微形態学的観察を行った。 胚体外卵黄に含まれる脂肪滴の胚への取り込みには三段階(胚運動期以前,反転完了期,点青期)あり,艀化直前の胚発生後期に消費される事を示した。この成果は日本蚕糸学会第77回大会,医学生物学電顕技術学会第23回大会,日本動物学会第78回大会で報告した。また,Zoological Scienceに投稿し,論文掲載が決定した。 上記の結果をふまえ,高圧凍結、凍結置換法を用いてTEM試料を作製し,初期発生過程(反転完了期まで)における胚体外卵黄から胚組織への脂肪滴の取り込みを超微形態学的に検討した。その結果,第一段階では,胚に含まれる大部分の脂肪滴は胚盤胞形成時に表層細胞質ごと取り込まれたものと考えられるが,その後の発生過程で緩やかに細胞表層からの取り込みが起きること,第二段階では脂肪滴は中腸内腔の卵黄細胞から中腸細胞を介して体腔内の脂肪体に蓄積されることが観察された。また,胚細胞や中腸細胞において,細胞内の脂肪滴周辺に発達した粗面小胞体が観察され,一部は脂肪滴と融合しているものも見られた。これらは脂肪滴と小胞体との関連を示唆するものであり,昆虫卵の発生過程の観察のみならず,細胞内における脂肪滴の生成と輸送機構に関して重要な示唆を与えるものであると期待される。この成果の一部は日本動物学会第78回大会で報告し,現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)