2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物の微量元素の吸収と移行に対するムギネ酸の機能
Project/Area Number |
18580058
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
河合 成直 Iwate University, 農学部, 教授 (80161264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永澤 明 埼玉大学, 理学部, 教授 (40108452)
上村 松生 岩手大学, 農学部, 教授 (00213398)
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Keywords | ヒ素 / ニッケル / 吸収 / 原子吸光光度計 / 水耕栽培 / オオムギ / シオチガヤ / 導管溢泌液 |
Research Abstract |
5つの研究課題について、以下の結果を得た。 1.イネ科植物における金属元素の過剰症とムギネ酸分泌の関係:^<63>Niを用いて、Niがムギネ酸(MA)によりFeと同様に吸収促進が見られるかを調べたところ、Niも吸収促進されることがわかった。また、^<59>Feを用いてFeとNiの競合実験を行いNiがFeよりも優先的に吸収される結果を得た。^<65>Znを用いてZnがMAの吸収促進を検討したところ、Fe供給条件下pH5.5で生育したオオムギにおいて、Znの吸収促進が見られた。しかし、Fe供給pH6.5、又は、Fe欠乏条件下ではZnの吸収促進はなかった。また、Coを水耕培地に添加して栽培したところ、Fe供給条件下でもCo10μMにおいて、Feクロロシスが誘導され、MA分泌が促進されることがわかった。 2.イネ科植物における有害元素とMA分泌との関係:Fe欠水耕オオムギにおいて、ヒ素濃度67μMにおいて葉が緑化する現象を見出した。この葉の緑化にはPの吸収と地上部への移行抑制が関与していると思われた。 3.導管中の微量元素の移行量と添加MAの効果:水耕Fe欠乏オオムギにCoをMAと共に投与する実験を行ったところ、Co10μMをMAと共に吸収させると導管液の量が急激に低下し、地上部への物質移行が抑えられることが示された。これは、MA-Co錯体の吸収により、植物が防御作用を示す結果である可能性がある。 4.MA金属錯体の形態の解析:紫外・可視吸光度測定の結果、MAの各種金属との錯体形成能の順序は以下であると結論された。Cu^<2+>>Fe^<3+>>Ni^<2+>>Mn^<2+>>Zn^<2+> 5.単離細胞膜による微量元素の吸収の解析:鉄欠オオムギ根より単離した細胞膜小胞によるCdの吸収実験において、MgがCdと競合し吸収抑制が起こることが示された。このことは、農業におけるMgが生理的に直接的なCd吸収抑制効果を持つことを示唆している。
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