2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランス酸による食品物性および嗜好性改変効果の解明と代替物の探索
Project/Area Number |
18580120
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 康生 京都大学, 農学研究科, 教授 (50181756)
|
Keywords | トランス酸 / 食品物性 / 嗜好性 / 乳化食品 / O / W型エマルション / クリーム / 低水分系食品 / ショートニング |
Research Abstract |
トランス酸は乳脂肪中にわずかながら存在するほか、マーガリンやショートニングの製造工程で多く生じる脂肪酸である。トランス酸が血中コレステロールレベルを上昇させるという報告が相次ぐ中、米国では食品中のトランス酸含量の表示が義務づけられた。我国においても、トランス酸の低減化が重要な課題となっている。しかし、トランス酸を含む油脂は、優れた物性・嗜好性を有するため、代替油脂の使用が困難な状況となっている。特にO/W型エマルション食品や低水分系食品における代替は非常に難しいと予想されている。本研究では、これら乳化食品や低水分系食品において、トランス酸の優れた食品物性改変効果がどのような機構で発現するのか解明することを目的とする。また、その結果明らかとなった基礎的知見に基づき、トランス酸の代替物を探索することを最終目標とする。 平成18年度においては、トランス酸を含む油脂成分より調製したクリーム(O/W型エマルション)の物性について検討を行った。トランス酸は、不飽和脂肪酸でありながら、直鎖状であるため、シス型の脂肪酸に比べて非常に高い融点を示す。従って、室温や冷蔵温度付近で結晶化することによりクリームの物性に大きな影響を与える。本研究では、そのようなトランス酸を含む油脂の結晶化に伴うクリームの物性変化を、レオロジー測定、DSC測定、ESR測定などの手法を駆使することによって解析した。また、トランス酸の結晶化挙動やクリームの物性に与える添加物の効果、特に乳化剤やリン脂質の添加効果を検討した。その結果、乳化剤やリン脂質の種類に応じて、トランス酸の結晶化は促進されたり抑制されたりすること、また物性変化のパターンも異なったものになることが明らかとなった。今後はクリーム中でトランス酸と同様な挙動を示す代替物の探索を試みる。また、低水分系食品にも検討の対象を広げる予定である。
|