2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580147
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川口 英之 Shimane University, 生物資源科学部, 准教授 (40202030)
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Keywords | 樹木種子 / トチノキ / 大型種子 / 結実率 / 種子数 / 繁殖 / 花粉親 / 自殖 |
Research Abstract |
トチノキの果実あたり種子数の変動およびその要因を明らかにするために、昨年度に引き続き、京都大学芦生研究林のモンドリ谷16haとその周辺に生育するトチノキ、島根大学構内に植栽されたトチノキについて調査した。種子が2個以上入っている果実を多胎果実とよび、個体が生産した果実全体に占める多胎果実の割合を測定した。モンドリ谷の個体について、異なる年の多胎果実の割合の相関係数は正の値を示し、個体ごとの多胎果実率の高低は、異なる繁殖年においても同様の傾向を示した。しかし、有意な場合と有意でない場合があり、多胎果実率の年ごとの変動は大きいとみられた。島根大学構内に植栽されたトチノキについても、個体ごとの多胎果実率の高低は、異なる繁殖年においても同様の傾向を示した。果実あたりの種子数の変動を形成する要因のうち、種子が成熟する過程における要因として、果実内の6個の胚珠に花粉を供給した開花個体に注目した。マイクロサテライトマーカーを用いた解析により、多胎果実内の種子の花粉親を比較し、種子が成熟する過程において多胎果実が形成されるひとつの可能性として、花粉親が同じであるために種子間の競争が起こらないことが原因であるのかを調べた。その結果、双子果実のなかの2個の種子の花粉親は、自殖と自殖、自殖と他殖、他殖と他殖のすべての組み合わせがあった。他殖と他殖の場合に、花粉親が同じ場合と異なる場合の両方があった。したがって、2個の胚珠の花粉親が同じであるために優劣がつかずに双子となったわけではないことが示された。また、多胎でない果実の種子と比較した結果、花粉親の組成に明瞭な違いはなかった。
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Research Products
(3 results)