2006 Fiscal Year Annual Research Report
森林性野ネズミの貯食活動が樹木の更新や分布拡大に及ぼす影響
Project/Area Number |
18580149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
曽根 晃一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60264454)
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Keywords | 森林性野ネズミ / 貯食活動 / 広葉樹 / 更新 / 分布拡大 / マテバシイ |
Research Abstract |
・森林性野ネズミの生息数と定住個体の行動圏の推定 平成18年4月から12月までの毎月と平成19年3月に、4夜連続で111個の生け捕りわなを設置し、アカネズミとヒメネズミの放逐再捕調査を実施した。本年度は、アカネズミ71個体とヒメネズミ46個体を捕獲し、個体識別を施した後放逐した。秋のマテバシイのドングリ落下時期から翌春まで調査地に生息し続けた個体は8個体であった。平成16年度と17年度のマテバシイの堅果生産が著しく少なかった影響を受けて、野ネズミの生息数はこれまでの調査を通して低かった。 ・種子の落下状況 調査地内で、10月から12月にかけて40個の種子トラップ内に落下したマテバシイの堅果数は394個であった。地上に落下した堅果6641個について、その状態を調査したところ、シイナ率が14.7%、シギゾウムシにより食害されたものの割合は10.8%で、健全率は74.5%であった。これらの結果から、調査地内には1haあたり約35万個の健全な堅果が落下したと推定された。平成18年度は、マテバシイの堅果の豊作年であると結論づけられた。 ・地上からの堅果の消失 調査地内に設定した固定プロット内に415個の堅果が落下し、278個が健全であった。平成19年3月末までに、約55%にあたる152個が消失した。消失原因はタヌキによる摂食が5個、イノシシによる摂食が3個で、残りは野ネズミによる運搬であると推測された。消失率は、調査を開始して以降最も低く、原因として堅果が豊作であったことや、野ネズミの生息数が少なかったことが考えられた。 ・野ネズミの貯食行動 小型発信機付き堅果は、これまでに4個体が運搬されたのみであった。いずれも10-30mほど運搬され、地中の巣穴や立木の根元に作られた巣穴内で捕食されていた。 ・稚樹の発生と分散(稚樹と母樹との位置関係の解析) DNA解析を用いて、マテバシイの稚樹と母樹の位置関係を明らかにするための前段として、マテバシイの葉からのDNAの抽出を試み、抽出できることが明らかになった。
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