2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林性野ネズミの貯食活動が樹木の更新や分布拡大に及ぼす影響
Project/Area Number |
18580149
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
曽根 晃一 Kagoshima University, 農学部, 教授 (60264454)
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Keywords | 森林性野ネズミ / 貯食活動 / 広葉樹 / 更新 / 分布拡大 / マイクロサテライトマーカー |
Research Abstract |
2008年4月から12月まで毎月1回4夜連続で、野ネズミの捕獲調査を実施し、アカネズミ80個体、ヒメネズミ67個体を捕獲した。両種の個体数は、春にピークを迎え、夏から秋にかけて減少した。堅果の落下する秋から冬にかけての定住個体数は、アカネズミが5個体、ヒメネズミが3個体であると推定された。調査林分において、マテバシイの堅果は1〓あたり約57千個落下した。そのうち健全な個体は約37千個であった。地上に落下した堅果は12月末までに、その全てが野ネズミに持ち去られるか、大・中型獣によりその場で採食された。 11月末に地中に人工貯食された堅果は、5cmまでに貯食された場合は97.7%、10-15cmの深さに貯食された場合は77.7%が12月末までに消失した。消失した90%以上の堅果は、野ネズミにより盗まれた。野ネズミの貯食した堅果の貯食者による回収率を、赤外線センサースウィッチつきカメラと小型発信機付きドングリを用いて調査したところ、約60%であることが明らかになった。回収率は地上の餌が少ないときの方が多いときより高く、貯食者による自らが貯食した堅果のチェック間隔が長くなるほど、餌資源からの運搬距離が長くなるほど低くなる傾向が認められた。今年度は堅果の生産量が少なく、その一方で野ネズミ定住個体数はそれほど少なくなかったので、野ネズミ1個体あたりの堅果落下数が少なく、運搬距離は平均約50m(最大約120m)と、これまでになく長くなった。 遺伝的手法を用いて親木と稚樹の親子関係を解析するために、マテバシイのマイクロサテライトマーカーを開発した。
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