2007 Fiscal Year Annual Research Report
飼料穀物における米国と中国の競争力に関する構造分析
Project/Area Number |
18580219
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 富夫 University of Toyama, 極東地域研究センター, 教授 (20225767)
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Keywords | 農業経済学 / 農林水産物 / 飼料穀物 / 米中関係 / 農業構造 / 国際研究者交流 / 中国:韓国 |
Research Abstract |
近年、BRICs諸国ノ経済成長やバイオ燃料需要等を背景に穀物需要ガ増大し、穀物の国際価格は高勝している。こうした状況のもと、各国は輸出抑制、自給化の方向に政策転換し始めている。今年度は、中国の飼料穀物の需給動向を把握することともに、市場主義改革のもとで共通した政策となっている直接支払い制度が、各国の農業構造にどのような影響をえつつるのかを明らかにすることに研究の重点を置いた。 1.中國では、トウモロコシの増産に向かっているが、その背景には好調な価格上昇、流通市場改革、直接支払い等の農業保護政策の効果がある。市場に敏感な農民が形成されているが、出稼きが急増しているにも関わらず農業経営の規模拡大テンポは極て遅い。 2.ドイツでは、EUの共通農業政策改革により穀物価格は国際水準へ押し下げられ、それに対する所得補填として直接支払い制度が実施されている。そのもとで急激に農業経営の両脚分解が進展しており、中間規模層の減少、80ha以上の大規模層が増大している。さらに大規模層といえども機械負担に耐えられず、機械の共同利用組織が形成されてきている。また、借地競争により、直接支払い部分が地代化している。 3.日本では、米の関税は存在している、生産調整のための産地づくり交付金や経営安定対策による補填金は、直接支払いの要素を持つ。規模別の収益構造をみると、大規模層(20ha以上)の農業所得の52%がこれら補助金に依存している。この成果は、研究協力者等と開催した中國農業大学(北京)でのシンポジウムらて「農民所得形成における財政の役割-日本の場合-」として発表した。 以上のように、直接支払い制度下で農業経営の性格や規模がどのように変化していくのか、構造の視点から需給変動を展望するときの基礎的な分析として注目していく必要がある。
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Research Products
(1 results)