2008 Fiscal Year Annual Research Report
飼料穀物における米国と中国の競争力に関する構造分析
Project/Area Number |
18580219
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
酒井 富夫 University of Toyama, 極東地域研究センター, 教授 (20225767)
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Keywords | 農業経済学 / 農林水産物 / 飼料穀物 / 米中関係 / 農業構造 / 国際研究者交流 / 中国:韓国 |
Research Abstract |
今年度は、農政改革と穀物需給逼迫のもと、輸入国と輸出国の構造的な対応と課題を把握した。 1. 韓国は、価格と品質の比較によって、中国産か米国産かの輸入先を決定している。世界的な需給逼迫の中で中国産の輸出禁止、その結果、米国産に集中、しかも輸出企業の寡占化により、韓国としての選択の幅が狭まっている。輸入会社として国内企業の力が弱く、国際的な不足時に開発輸入等による集荷能力が無い点が安定的な調達にとっての構造的な問題である。 2. 中国は、トウモロコシ需要の増大にともなう国内物価対策として、07年末からトウモロコシの輸出禁輸措置をとった。他方、国際価格の落ち着きにともない、中国南部需要地域では、国内産より価格が有利になれば輸入の可能性がある。WTOによる関税割当制の下では、輸入の政策的抑制には限界がある。国内産のコストダウンが必要だが、国内運賃の低下だけでは効果が薄く、生産コストを下げねばならない。その際、労働市場、機械化技術段階からして規模拡大は困難、また、新規農地開発も困難であり、単収の増加に期待している。ただし、米国に依存しないために種子は中国独自に開発するという。 3. EUでは、域内農業を維持するため、共通農業政策の抜本的改革を行った。穀物の市場価格を国際価格水準に引き下げ、生産者には直接に所得補償を行う。こうした農政改革の中で、フランスでは構造改革=規模拡大が急速に進んでいる。同時に、販売力強化と付加価値を求めて、協同組合は事業展開を多角化、グローバル化している。しかし、今後の一層のグローバル化と域内農業の維持が両立できるのか否かが課題である。 4. EU路線が採用されない限り、今後、中国が純輸入国化する可能性はありうる。
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Research Products
(1 results)