2008 Fiscal Year Annual Research Report
火山灰土を主とする粘性土の分散凝集特性・物理性から見た粘土鉱物種と有機物の機能
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18580239
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
軽部 重太郎 Ibaraki University, 農学部, 教授 (10007768)
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Keywords | 土の撥水性 / 疎水性有機物 / 親水性有機物 / 接触角の時間依存性 / 水滴浸入時間 |
Research Abstract |
土の分散凝集特性・物理性に関わる有機物の機能を中心に、特に有機物が土壌の撥水性に及ぼす影響を研究した。その1つとして、疎水性と親水性の有機物量、疎水性/親水性有機物の比、全有機物量が、モデル砂質土の撥水性に及ぼす影響を調べた。その結果、撥水性に影響を及ぼす主な要因は疎水性有機物である事が確認された。ただし、親水性有機物もある程度まで接触角を増加させた。両方の有機物が存在するときは、疎水性有機物の量によって親水性有機物の効果が変化した。その関係を、2種類の有機物が土粒子を様々に被覆する場合の表面自由エネルギーの違いから説明した。接触角は、疎水性/親水性有機物の比が大きくなるにつれて増加し、全有機物量には必ずしも対応しなかった。 土の撥水性は水との接触時間によって変化するので、接触角の時間依存性を測定した。また、それと水滴浸入時間との関係を比較した。その結果、接触角は時間とともに指数関数的に減少し、約20分で見かけの平衡に達した。接触角の時間依存性の原因は、主に低い表面自由エネルギーをもつ有機物表面に水分子が吸着することによると考えられた。初め90°より大きかった接触角は、測定したすべての試料で40秒以内に90°以下に減少した。それにもかかわらず、これらの試料の水滴浸入時間は1時間以上であった。この原因は、表層とその直下の層の表面自由エネルギーの差にあると考えられた。水滴浸入時間は、水滴に接する表層だけでなく、その直下の層の表面自由エネルギーを増加させて、撥水性を低下させるのに必要な時間と考えられた。 このような土の撥水性に関する研究は、持続的な農業生産に向けて、農地の浸潤や土壌侵食をコントロールする技術を探るための基礎として重要であり、最近世界的に注目されている課題である。
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Research Products
(6 results)