2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580246
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤原 正幸 Ehime University, 農学部, 教授 (40253322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 完 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (60132007)
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Keywords | 魚道 / 数値流体力学 / 魚類の遊泳行動 / 河川構造物 / VOF法 |
Research Abstract |
河川を遡上あるいは降下する魚類にとって堰などの河川横断構造物は大きな障害となる。その障害を少しでも軽減させるために、魚道が設けられる。本研究では、効果的な魚道の設計に資するため、1.魚道内の流れ及び魚道を含んだ河川の流れを再現するモデルの作成、2.魚道内の魚類の挙動特性の解明、3.河川を遡上する魚類の挙動モデノセの開発、を目的とした。各目的に対する結果を以下に示す。 1.3種類の魚道(粗石付き斜路式魚道、バーティカルスロット式魚道、アイスハーバー式魚道)に対する流れ解析モデルを作成した。粗石付き斜路式魚道とバーティカルスロット式魚道は浅水流方程式を基礎式とする平面2次元モデル、アイスハーバー式は3次元VOF法を基礎としたモデルである。前者は河川との接続が完了したが、後者は研究期間内に河川との接続が完了できなかった。 2.岩木川取水堰の全面越流型階段式魚道プールにおいて水中TVカメラを3台用いて魚類等の遊泳行動を観察し、その行動実態について検討した。観測結果から、魚類は流れの局所的な低流速空間域(プール中央部下層(底から20cm程度)、切り欠き背面、潜孔周辺)を上手に利用しながら速い流れに刺激を受けて上流へと遡上していくことがわかった。また、底生魚では垂直な隔壁部を吸盤で吸い付きながら移動し、切り欠き部を遊泳していく行動も確認された。 3.向流性を基本としながらも確率論を加味した遡上方向を決定するプロセスと、普通筋と血合筋の使い分けによる泳ぐ速度を決定するプロセスを結合した魚の挙動モデルを作成した。 以上のモデルを結合して、バーティカルスロット式魚道における魚類の遡上経路シミュレーションを実施して、体長に応じて遡上率が高くなることとプールを休憩のために利用していることがシミュレーション結果から示された。
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