2007 Fiscal Year Annual Research Report
人為的環境を利用する野生ニホンザルの土地利用と環境選択
Project/Area Number |
18580268
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
室山 泰之 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 教授 (70314242)
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Keywords | 行動圏 / 植生調査 / 農地調査 / ラジオテレメトリー / GIS |
Research Abstract |
ニホンザル集団の個体群動態を明らかにするために、三重県名張市および奈良県宇陀市において、農作物に被害を及ぼす野生ニホンザル群(以下、猿害群)1群の個体数カウント調査を行なった。昨年の有害鳥獣駆除の影響もあり、群れ全体の個体数増加はほとんどなく、出産率は46%であった。これまでの当該群の出産率の年次変化の傾向と照らし合わせると本年度は低出産率の年にあたるが、天然林に生息するニホンザルに比べると非常に高く、餌付け群のそれに近い出産率であった。このことから、農作物を採食することがサルの栄養状態を良くし、さらに個体群パラメータに顕著な影響を与えていることが明らかになった。また、地域住民による追い払いがサルの環境選択に与える影響について、GISソフトを用いて分析を行なった。2003年と2006年で、猿害群1群の利用が通年見られる集落について、集落ごとのロケット花火による追い払い頻度を算出し、群れの集落への滞在時間と利用頻度をそれぞれ比較した。その結果、両年とも追い払いをより熱心に行なう集落では、2003年に比べて2006年には群れの滞在時間が短くなり、同時に利用頻度が低くなっていた。地域住民がロケット花火による追い払いを行なうことが集落におけるサルの食物利用可能性を低めることにつながり、群れの環境選択に影響を及ぼしているものと考えられた。2008年度は兵庫県篠山市において補足的な資料を収集するとともに、奈良県および三重県の資料分析を並行して実施し、成果を取りまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)