2008 Fiscal Year Annual Research Report
人為的環境を利用する野生ニホンザルの土地利用と環境選択
Project/Area Number |
18580268
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
室山 泰之 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 教授 (70314242)
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Keywords | 行動圏 / 植生調査 / 農地調査 / ラジオテレメトリー / GIS |
Research Abstract |
三重県名張市および奈良県宇陀市において実施した野外調査のとりまとめを行なうとともに、今年度あらたに兵庫県篠山市において補足的な資料収集を目的とした野外調査を実施した。名張市・宇陀市に生息し、農作物に被害を及ぼす野生ニホンザル群1群を対象に、農耕地の隣接林の利用様式とその機能について検討した。その結果、猿害群は農耕地の周囲500m以内をおもに利用していた。そのなかでもとくに林縁から100m以内の森林が、本来の植生とはかかわらず利用されていることがわかった。また、林縁とその付近の農耕地では採食している個体が多く、林縁付近の森林部では休息しているか、移動している個体が多かった。さらに、群れは農地から農地へと移動するために、農耕地の隣接林内を、なるべく最短距離で移動していることがわかった。これらの結果から、農作物被害を起こすニホンザルにとって、隣接林は多様な機能を併せ持つ生息地であることが示唆された。一方、兵庫県篠山市に生息する野生ニホンザル1群については、土地利用や環境選択、あるいは集団の個体群パラメータについて資料を収集するとともに、集落とロケーションポイントとの距離、集落出没時における林縁からの距離などを調査し、農作物被害を起こすサルの集落内の行動について分析を行なった。今後は、上記の分析結果を調査対象群間で比較し、各集団の採食行動の特徴が個体群パラメータや環境選択にどのような影響を与えるかを検討する予定である。
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Research Products
(12 results)