2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18580285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 秀彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所家畜育種増殖研究チーム, 主任研究員 (80399427)
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Keywords | 鶏 / 卵 / 卵殻 / QTL / SNP |
Research Abstract |
卵用鶏において、産卵能力に関する遺伝的改良は、ほぼ生物学的な限界に到達している。したがって、今後は消費・流通ニーズに対応した卵質の育種改良が重要である。その中で、生産・流通段階での「破卵」問題は、最優先で取り組むべき課題であり、18年3月に農林水産省が改定した「鶏の改良増殖目標」の中の「卵質・肉質等の改良」の第一項目として明記されている。本研究は、DNA解析手法を利用して卵殻強度の改良に資するべく、卵殻強度を支配する遺伝子座位(QTL)を特定し、マーカー選抜に応用できるDNAマーカーの開発を行う。18年度は、畜産草地研究所で造成した白色レグホーン種の資源家系(弱卵殻系統×強卵殻系統)における、卵殻強度関連形質(卵殻強度、卵殻厚、卵殻重等)とマイクロサテライトマーカーの遺伝子型の遺伝連鎖関係から、卵殻強度を支配する遺伝子座位(QTL)の特定を行った。その結果、 1.卵殻強度関連形質(卵重、卵殻重、卵殻厚等)のQTLを、一つの染色体上に見出した。 2.QTL領域の絞り込みを行い、QTLとドラフトシーケンスを比較したところ、一つの候補遺伝子を見出した。 3.同候補遺伝子のエクソン内に、形質との連鎖が最も疑われる一塩基多型(SNP)を見出した。 4.資源家系の親世代を調査したところ、弱卵殻系統の個体は、DDBJに登録されている塩基配列(野生型)をホモで保有していた。一方、強卵殻系統の個体は同配列と異なる塩基配列(変異型)をホモまたはヘテロで保有していた。 このように、当初予定していた研究目的(QTLの特定とDNAマーカーの開発)は、18年度までに達成した。19年度は、候補遺伝子の転写・翻訳産物(タンパク質)の解析を進める。ただし、本成果の根幹部分(遺伝子情報)は養鶏産業に対する波及効果が大きいため、成果の公表は、知的所有権等を確保してから慎重に行う所存である。
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