2006 Fiscal Year Annual Research Report
飼養環境下の牛群におけるマイコトキシン汚染の検証 ー 特に繁殖性に与える影響
Project/Area Number |
18580318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高木 光博 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (40271746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 明夫 帯広畜産大学, 大学院畜産学研究科, 教授 (10192767)
音井 威重 山口大学, 農学部, 助教授 (30311814)
川村 理 香川大学, 農学部, 助教授 (30204770)
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Keywords | ウシ / ゼアラレノン / 尿 |
Research Abstract |
ゼアラレノン(ZEN)はFusarium属により産生されるマイコトキシンであり、家畜において繁殖障害の原因になることが報告されている。本研究では、ELISA法によるウシ尿中ZEN濃度測定の可否について検討し、ついで、給与飼料の異なる牛群の尿中ZEN濃度測定を行い、飼料の違いと尿中ZEN濃度との関係を検討した。先ず、ELISA法定量キットを用いての添加回収実験を行い、次に、給与飼料の異なる牛酵からサンプリングを行った。供試牛は、放牧2群、および舎飼5群の計7群であり、舎飼5群のうち3群には給与飼料にマイコトキシン吸着剤(MA)を添加し(MA添加群)、残り2群は給与飼料へのMAを添加しなかった(MA無添加群)。各群から無作為に抽出した7〜20頭から尿を採取し、ZEN濃度測定を行った。ZEN添加回収実験における回収率は84±14%であった。給与飼料の異なる牛群の尿中ZEN濃度測定の結果は、MA無添加群は放牧群およびMA添加群比べて有意に高かった(P<0.01)。一方、MA添加群のうち一群は放牧群との有意差はなく、残り2群は放牧群より有意に高かった(Pく0.01)。次に、基礎データを蓄積するために、牛群数を増やして尿中Zen濃度を比較検討した。供試牛は放牧1群および舎飼11群(北海道6群と九州地区5群)、これに前述の7群を加えた計19群(n=230)を用いた。内訳は、放牧3群(n=32)、MA添加6群(n=94)およびMA無添加10群(n=104)であり、各群の尿中ZEN濃度を同様に測定した。尿中ZEN濃度は、MA無添加群がMA添加群および放牧群に比べて有意に高かった(P<0.01)。一方、ほぼ同時期にサンプリングしたMA無添加の北海道4群(n=42)および九州地区6群(n=62)の尿中ZEN濃度を比較すると、九州地区が北海道に比べて有意に高かった(P<0.01)。以上の結果から、1)ELISA法によるウシ尿中ZEN濃度測定は簡易なモニタリング法として有用であること、2)MA無添加群の尿中ZEN濃度が最も高く、貯蔵飼料由来のZEN汚染が推察されること、3)給与飼料へのMA添加によりZenの体内吸収が低減されること、4)飼料の保管環境状態(気温や湿度等)が、牛の尿中Zen濃度に影響していること、などが示唆された。
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