2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカにおける新規商品作物導入過程の地域農学的研究
Project/Area Number |
18580329
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水野 啓 Kyoto University, 地球環境学堂, 助教 (10260613)
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Keywords | バニラ / 商品作物 / 地域農学 / 東アフリカ / インド洋 / 在来農業 |
Research Abstract |
前年度に実施したタンザニアおよびウガンダにおける現地調査の結果を分析し,各地の環境条件とバニラの栽培実態,加工・流通ならびに導入・普及プロセスに関する考察をおこなった。その結果,(1)栽培の歴史が比較的古く,大規模化や集約化の進んだウガンダ中部では,近年の生産者価格変動の影響を強く受け栽培面積の縮小や管理の粗放化などが見られること,(2)自給作物生産や屋敷林の多面的利用と連動する形で導入が進められたタンザニア北西部(カゲラ州)や中部(モロゴロ州)では,価格低下にもかかわらず栽培規模の拡大や新規農家の参入が継続的に進行しており,農家経済への影響も少ないことが明らかとなった。とくに,ビクトリア湖西岸域における在来農業であるバナナを中心とした混作システムはバニラ栽培との親和性が極めて高く,資源循環型の食料生産と換金作物栽培が共存する事例として注目に値する。 また,異なる環境条件や社会・経済特性をもつバニラ栽培地域との比較のため,南インド洋島嶼部(マダガスカル,コモロ諸島,レユニオン)において現地調査を実施し,栽培の実態および加工・流通システム,農業政策の状況等を調査した。これらはいずれも世界的に有名な産地でありながら,土地利用や農業の形態,市場等がそれぞれ大きく異なり,バニラ栽培の規模や方法,製品の質も千差万別である。とくにレユニオンはフランス海外県としてEUの農業保護政策下にあり,生産コストが高く価格競争力に劣ることから,高品質化や観光業との連携など,他の産地では見られない取り組みが進められている。引き続き,詳細な分析を進める。
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Research Products
(1 results)