2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え技術を用いたブタ糞尿中のリン低減化に関する研究
Project/Area Number |
18580335
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
久松 伸 Azabu University, 環境保健学部, 講師 (10198997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏崎 直巳 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90298232)
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Keywords | 遺伝子組換え / 乳酸菌 / ブタ / リン / フィターゼ / 富栄養化 |
Research Abstract |
本課題では、ブタ糞尿からのリン排出量の低減化を推し進めた養豚を実現するために、有機リン化合物(フィチン)の利用性が極めて高いブタの飼育方法及びフィチンを分解できる酵素(フィターゼ)の活性が高い遺伝子組換えブタの開発を試みることにしている。これまで、フィチンの利用性を高めるための方法として、フィターゼ活性を持たない乳酸菌にフィターゼ遺伝子を導入し、得られる乳酸菌をブタに接種することでフィチンの分解を促すことを目指し、まず、高いフィターゼ活性をもつ大腸菌(健康なブタの糞便から単離)からPCR法を用いてフィターゼ遺伝子の獲得を行ってきた。PCRによって得られたフィターゼ遺伝子を乳酸菌と大腸菌のシャトルベクターに導入し、遺伝子組換え用大腸菌にクローニングを試みたところ、フィターゼ遺伝子がプラスミドに組み込まれた形質転換体の獲得に苦心した。そこで、遺伝子組換えに良く用いられる大腸菌であるDH10Bのフィターゼ遺伝子をPCRで増幅し、シャトルベクターに導入することを試みたが、やはり、完全長のフィターゼ遺伝子は得られなかった。得られたクローンの中で比較的完全長に近いプラスミドのシーケンスを行ったところ、フィターゼ遺伝子の一部が断片化して導入されていることがわかった。このような結果になる理由は不明だが、そもそも大腸菌の染色体中に存在する遺伝子を、プラスミド中に導入することによって、細胞内でのその遺伝子のコピー数が増え、更に、その遺伝子が翻訳されることによって、代謝に影響を及ぼすことが推測される。従って、他の方法を用いたクローニングを検討しなければならないことがわかった。
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