2006 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉芳香族アミノ化反応を利用する光学活性含窒素化合物の効率的合成
Project/Area Number |
18590018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
北川 理 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30214787)
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Keywords | アトロプ異性 / アニリド / アミノ化 / ジアミン / 不斉触媒反応 |
Research Abstract |
平成18年度は,触媒的不斉芳香族アミノ化反応を利用したアトロブ異性アニリドの高エナンチオ選択的合成と得られたアニリド生成物の不斉反応への応用について検討した結果,以下の知見を得た. 1,触媒的不斉芳香族アミノ化反応を利用するアトロプ異性アニリド誘導体の高エナンチオ選択的合成 申請者は既に,アキラルなオルトtert-ブチルNHアニリドと4-ニトロヨードベンゼンの芳香族アミノ化反応を(R)-DTBM-SEGPHOS-Pd(OAc)_2触媒存在下行なうと,高エナンチオ選択的にアトロブ異性アニリドが得られることを見いだしている.今回,反応の適用と限界を明らかにする目的で種々の基質を用いて詳細な検討を行なった.その結果,本反応は種々の直鎖ならびに分枝脂肪族カルボン酸アミドに適用が可能であり,いずれも高いエナンチオ選択性(88-95%ee)でアニリド生成物が得られることを見いだした.また,アルケニル,アルキニル,エーテル,アセタール官能基等を有するカルボン酸アミドの反応も好収率ならびに高エナンチオ選択的に進行した. 2,アトロプ異性アニリド生成物の立体配座解析 アニリド生成物をキラル分子(キラル補助基)として利用するために,低温NMR測定,NOESY実験,X線結晶解析等を行ないその優先立体配座について検討した.その結果,オルトtert--ブチルフェニル基がアミドカルボニル酸素とトランスの関係にあるE配座を優先することが明らかとなった.このE配座優先性は一般性があり,種々のアニリド基質で観察されている. 3,アトロプ異性アニリド生成物を利用した不斉反応の開発 アトロプ異性アニリド生成物の合成化学的利用という観点から,不斉エノラート化学への適用について検討を加えた.すなわち,触媒的不斉芳香族アミノ化反応により高エナンチオ選択的に得られたN-(4-ニトロフェニル)-オルト-tert-ブチルアニリド生成物をN-フェニル体に変換し,n-BuLiを用いてリチウムエノラートを調製した.このエノラートにおいても上述したE配座優先性が生じており,種々のハロゲン化アルキルとの反応は高ジアステレオ選択的に進行し,α-アルキル化生成物を与えた.
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