2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経グリア細胞におけるペルオキシソームとコレステロール代謝の機能的相互作用の解析
Project/Area Number |
18590049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
守田 雅志 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (20191033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今中 常雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (50119559)
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Keywords | ペルオキシソーム / 副腎白質ジストロフィー / ABCタンパク質 / グリア細胞 / コレステロール / 脂肪酸β酸化 / 極長鎖脂肪酸 |
Research Abstract |
ペルオキシソームはすべての真核生物に存在するオルガネラで、脂質代謝において重要な役割を担っている。しかし、中枢神経系での役割はあまり報告されていない。副腎白質ジストロフィー(ALD)はベルオキシソーム膜ABCタンパク質ALDPの機能不全で起こり、極長鎖脂肪酸の蓄積を特徴とする神経変性疾患である。最近、ALDノックアウトマウスにおいて極長鎖脂肪酸の蓄積とともにコレステロール代謝の恒常性にも異常が起こることが報告された。そこで、本研究ではALDPをノックダウンしたダリア細胞株やALDノックアウトマウスの脳由来アストロサイトを用い、脂質代謝系への影響を分析した。その結果、 1、ダリア細胞株ではALDP機能減少により、ベルオキシソームの極長鎖脂肪酸β酸化活性の減少が認められた。また、ベルオキシソームでβ酸化され遊離するアセチルCOAからコレステロールや脂肪酸が合成されていること、またこれらの合成は極長鎖脂肪酸のβ酸化の減少と共に減少していた。また、[^<14>C]酢酸で代謝ラベルすると、ALDPノックダウン細胞ではラノステロール両分への取り込みに増加が認められた。さらに遊離コレステロール含量の増加、及び遊離コレステロールの細胞膜への分布が確認された。以上のことからALDPの機能とコレステロール代謝には密接な関連性があると考えられた。 2、ALDノックアウトマウスおよび正常マウスの脳からダリア初代培養を行い、アストロサイトとミクロダリアをそれぞれ分離培養し、脂質代謝を分析した。その結果、極長鎖脂肪酸のβ酸化活性の減少が認められたが、その減少の程度は小さく、混合ダリア細胞では有意の差は認められなかった。さらに、[1・^<14>C]リグノセリン酸のコレステロールエステル両分及びヘキサコサン酸(C26:0)への取り込みは有意に増加していた。このことから、中枢神経系でのALDP機能不全による極長鎖脂肪酸の蓄積は、単に極長鎖脂肪酸のβ酸化の減少による極長鎖脂肪酸プールの増加だけでなく、極長鎖脂肪酸のコレステロールエステルヘの取り込みの増加と脂肪酸延長反応の亢進が主な原因であると推察された。 今後、ALDPの機能がどの様にコレステロール代謝系や脂肪酸延長反応と関連しているかについて詳細に検討する予定である。
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Research Products
(3 results)