2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590102
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 英夫 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (80088856)
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Keywords | 塩基配列特異的切断 / 人工RNA分解酵素 / アンチセンス核酸医薬 / オリゴヌクレオチド誘導体 / 金属錯体触媒 / 分子設計 |
Research Abstract |
本研究では、オリゴヌクレオチド系RNA切断剤(塩基配列特異的RNA分解酵素)、すなわちアンチセンス核酸にRNA切断活性を付与した人工酵素の構築と機能評価を行なっている。分子生物的研究や医薬への応用などへの実用化を目指すためには極めて活性の高い、触媒回転を有する人工酵素の開発が必要である。 本年度の研究では、擬似塩基部(ベンゼン環)にターピリジン基が結合したヌクレオシドを多段階経由で合成し、これを鎖中央部に2個含むCu(II)錯体結合2'-0-メチルオリゴヌクレオチドを合成した。 この切断剤では、切断活性部位に2個のターピリジン錯体結合ベンゼン誘導体を有するため、相手鎖RNA(24mer)の相対する2つの塩基とは塩基対形成できないが、ベンゼン環同士あるいはベンゼン環と隣接する塩基のスタッキング、またターピリジン錯体同士あるいは錯体と隣接RNA塩基のスタッキングにより活性部位の構造が保持されると考えられた。実際に、この切断剤の活性は前年度に構築した最も活性が高い切断剤と同程度もしくはそれ以上であった。また標的RNAの切断予定部位の配列を変えたRNA変異体をいくつか調製して反応を行なった所、切断箇所は1カ所または2カ所と限定的であった。したがって、本年度に開発した切断剤は任意のRNA配列の切断に応用可能であることがわかった。一方、本年度の実施計画で述べたように、この切断剤が酵素のように機能するならば、逆反応(再結合反応)も可能であると考えてRNA鎖同士の連結反応を種々の条件で試みたが成功していない。なお、昨年度は開発した切断剤が長鎖RNAを位置特異的に切断できることを示したが、反応条件のさらなる検討およびその他の実施計画を実行するには至らなかった。
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