2006 Fiscal Year Annual Research Report
核膜に存在するATP感受性K+チャネルの分子同定とその機能的役割に関する研究
Project/Area Number |
18590232
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中谷 晴昭 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60113594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊明 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教授 (60244159)
小倉 武彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (00292673)
|
Keywords | 薬理学 / 生理学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネルは内向き整流K^+チャネルファミリーのKir6.xとスルホニル尿素受容体(SUR)が複合体を形成して機能する事が示されており、Kir6.1とKir6.2はそれぞれ血管平滑筋細胞および心筋細胞の細胞膜表面に存在するK_<ATP>チャネルのポア成分として、重要な役割を果たす事を示してきた。最近、細胞膜やミトコンドリア内膜ばかりでなく、核膜にもK_<ATP>チャネルが存在する事が示唆されているが、その構成分子は不明であり、その機能的役割も十分明らかとなっていない。本研究ではマウスより単離した心筋細胞の核を用い、それのK_<ATP>チャネルの構成分子および機能的役割を明らかにしようとした。野生型マウスの心室筋をホモジェネートし、遠心分離で核分画を抽出して核の単離を行い、細胞質類似液に浮遊させた。核膜上にK_<ATP>チャネルが存在する事を光学的に確認するため、核膜をglibenclamide-BODIPY-FLでラベルすると核膜上に染色が認められる事が蛍光顕微鏡を用い確認出来た。しかし、単離した核膜よりパッチクランプ法で単一チャネル電流の記録を試みたがいくつかの種類のイオンチャネル活動が観察されたものの、スルホニル尿素薬やK^+チャネル開口薬に反応するK_<ATP>チャネル活動は観察されなかった。次に、東海大学医学部石田英之博士との共同研究として、単離した心筋細胞核において、Fluo-3/AMを用い共焦点顕微鏡によって核胞内のCa^<2+>シグナルを測定した。しかしながら、スルホニル尿素薬に反応する核胞内Ca^<2+>シグナルの一過性の減少反応は認められなかった。これらより、心筋細胞核膜にはK_<ATP>チャネルは存在するが、その密度は低いものであり、現在の実験状況下ではその機能を検知できないレベルである事が示唆された。今後、異なった組織や抗体を用い核膜K_<ATP>チャネルの解析を続ける予定である。
|