2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経機能障害をもたらすAMPA受容体サブユニットタンパク異常の検討
Project/Area Number |
18590239
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
鈴木 岳之 Kyoritsu University of Pharmacy, 薬学部, 准教授 (90187740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増野 匡彦 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (90165697)
郭 伸 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40160981)
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Keywords | グルタミン酸 / AMPA受容体 / ALS(筋萎縮性側索硬化症) |
Research Abstract |
本年度は、まず培養細胞系を用いて、より生理的条件下に近い実験系を作成し、それを用いて生体内で実際に生じているようなグルタミン酸を介した神経伝達をin vitroで検討した。その結果、ラット脳の異なる部位の共培養下で、グルタミン酸作動性神経細胞から遊離されたグルタミン酸が脳内別部位由来の神経細胞とシナプスを形成し、自発的な神経活動由来の伝達物質遊離を示すことを見出した。これにより、グルタミン酸性神経伝達に影響を及ぼす薬物の効果的スクリーニング系が確立できた。 一方、グルタミン酸受容体機能異常に強く関連するRNA編集酵素であるADAR2の活性の調節機構を明らかにするために、ADAR2活性を発現するさまざまな細胞系の確立を行った。それにより、ADAR2活性には細胞内(特に核内)酵素発現量と基質タンパク質との比が重要であるという知見を得た。 さらに、ADAR2のノックアウトマウスを用いた研究を行った。脊髄運動神経選択的にADAR2をノックアウトした動物では症状は確認できるものの、その細胞レベルでの作用の解析は容易ではない。そこで、タモキシフェン刺激により全身的にADAR2をノックアウトするようなマウスを作成し、その症状発現と、脊髄運動神経以外での細胞異常の検討を開始した。その結果、このマウスにおいて運動異常をはじめとする症状の発現が観察された。これは、今後ADAR2の生体内での役割ならびに、ALSの確定診断に必要な生化学的マーカーの確立に有効なモデルであるといえる。
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