2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃・十二指腸の重炭酸イオン分泌における細胞内情報伝達機構及び輸送担体に関する研究
Project/Area Number |
18590248
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 孝治 Kyoto Pharmaceutical University, 薬学部, 教授 (00150798)
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Keywords | 胃・十二指腸アルカリ分泌 / 内因性メディエーター / 輪送担体 / 知覚神経 / ホスホジエステラーゼ / 炭酸水 / 炭酸脱水酵素 |
Research Abstract |
胃・十二指腸アルカリ分泌におけるPGE_2およびNOの促進機序、ならびにアルカリ分泌の局所性調節に関与するホスポジエステラーゼ(PDE)サブタイプの検索、および炭酸水による促進機序について検討し、以下の結果を得た。 1)PGE_2のアルカリ分泌促進作用に関与するEP受容体サブタイプについて、最近開発されたサブタイプ選択的なEP1、EP3、EP4拮抗薬を用いて検討し、胃ではEP1受容体およびCa^<2+>、十二指腸ではEP3/EP4受容体およびCa^<2+>/cAMPを介することを確認することができた。(Aihara, et. al.,Life Science,80,2446-2453,2007) 2)NOR3(NOの供与体)もcGMPを介して胃・十二指腸アルカリ分泌を促進するが、この作用はメチレンブルー、インドメタシンおよびSC-560の前処置によって抑制されるが、ロフェコキシブは影響を与えなかった。一方、NOR3は胃・十二指腸においてPGE_2産生を増大させた、胃アルカリ分泌はEP1拮抗薬により、また十二指腸アルカリ分泌はEP3/EP4拮抗薬により抑制された。即ち、NOのアルカリ分泌促進作用はcGMP依存性にCOX-1を活性化し、PGE_2を介して発現するものと推察された。 3)炭酸水の管腔内適用はラット胃・十二指腸のアルカリ分泌を増大させた。胃における反応は炭酸脱水酵素(CA)阻害薬であるアセタゾールアミド(AZ)によって完全に抑制されるが、十二指腸での反応はAZにより部分的かつ有意に抑制され、インドメタシンおよび知覚神経麻痺によっても有意に抑制された。炭酸水は十二指腸粘膜においてPGE_2産生を増大した。すなわち、炭酸水によるアルカリ分泌促進は胃と十二指腸で異なり、胃では主としてCA依存的に細胞内で変換されたHCO_3^-を起源とするのに対し、十二指腸ではCA依存性のHCO_3^-分泌に加え、CAにより変換され血中側に排出されたH^+がPGE_2産生や知覚神経を介してHCO_3ゴ分泌を生じるものと推察された。この過程はNHE1阻害薬やNBC阻害薬によっても抑制されることから、H^+の細胞外への排出はH^+/HCO_3咬換およびNa^+/H^+交換体を介して生じるものと推察された。(Sasaki, et. al.,Inflammopharmacolgy,15,223-228,2007) 4)摘出マウスの胃・十二指腸を用い、PGE_2およびNOR3によるアルカリ分泌反応に対するサブタイプ選択的PDE阻害薬の影響を検討した。十二指腸におけるPGE_2の作用はPDEIおよびIII阻害薬によって増大したが、NOR3作用はPDEIによってのみ有意に増大した。一方、胃におけるPGE2の作用は如何なるPDE阻害薬によっても影響を受けなかったが、NOR3の作用はPDEIおよびVの阻害薬によって有意に増大した。すなわち、十二指腸ではPDEIおよびIIIが、また胃ではPDEIおよびVがアルカリ分泌の局所性調節に関与していることが判明した。(Hayashi, et. al.,Biochemical Pharmacology,74,1507-1513,2007)
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Research Products
(8 results)