2007 Fiscal Year Annual Research Report
Rhoファミリーシグナル伝達系分子を対象とした疾患関連遺伝子の探索
Project/Area Number |
18590261
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
天野 睦紀 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90304170)
|
Keywords | Rho / Rac / Rho-kinase / eNOS / PAR-3 / シグナル伝達 / ARHGAP9 / SNP |
Research Abstract |
Rhoファミリーシグナル伝達系分子は主に細胞骨格の調節を介して様々な生理機能や疾患の発症に重要な役割を果たしている。Rhoファミリーシグナル伝達系分子が循環器疾患や精神疾患の原因遺伝子や感受性遺伝子となっている可能性は極めて高いと考えられる。このような観点から、本研究ではヒト疾患(循環器系疾患や精神疾患等)の発症に関わるRhoファミリーシグナル伝達系分子の同定とその分子基盤を明らかにすることを目的としている。 内皮型NOS (eNOS)は循環器疾患と深い関わりがあることが知られている。eNOSは複数のキナーゼによりリン酸化を受け、1177番目のセリンのリン酸化はeNOSの活性について促進的に、495番目のトレオニンのリン酸化は抑制的に働く。しかしながら、抑制的リン酸化を担うキナーゼについては不明の部分も多い。申請者らは、Rho-kinaseがin vitroおよび、内皮細胞において495番目のトレオニンをリン酸化することを見出した。このことは、Rho-kinaseが血管攣縮や高血圧を引き起こす機序の一端を示唆するものである。 また、細胞の遊走においてRhoファミリー間のクロストークが重要であると考えられているが、その機序についてはほとんど明らかにされていない。申請者らはCdc42からRacへのシグナルメディエータであり細胞の極性化を担うPAR複合体の構成因子であるPAR-3をRho-kinaseがリン酸化し、その結果PAR複合体の機能を抑制することを見出した。このようなRho/Rac/Cdc42の間の機能調節により、細胞の前後方向の極性が正しく形成されることを示した。 さらに、Rhoファミリー分子およびRhoファミリーの活性制御因子の38遺伝子(特にアミノ酸置換を伴う57SNPs)について解析を行い、薬物誘発性冠攣縮と関連が認められる候補遺伝子(ARHGAP9A370S)を見出した(投稿準備中)。
|
Research Products
(3 results)