2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性形成におけるRab13-標的蛋白質系の作用機構
Project/Area Number |
18590271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西村 範行 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究科, 助教授 (00322719)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞接着 / タイトジャンクション / オクルーディン / Rab13 / JRAB / MICAL-L2 |
Research Abstract |
個体の発生や組織の構築には、上皮細胞を構成するするさまざまな分子が、頂端部-基底部軸に沿って秩序正しく配置されることが必須である。この上皮細胞の極性形成において、隣り合う細胞間隙の物質透過を制限すると共に細胞膜を頂端部と基底部に分離するタイトジャンクション(TJ)は、必ず基本的な細胞間接着を担うアドヘレンスジャンクションの頂端側に形成される。TJは単に維持されるのではなく、さまざまな刺激に応じて分解と形成を繰り返しており、これには、TJを構成する膜蛋白質であるクローディンやオクルーディンの細胞膜への小胞輸送の調節が重要だと考えられる。研究代表者は、60以上のメンバーが同定されている細胞内小胞輸送の代表的な制御系であるRabファミリー低分子量G蛋白質(Rab)に注目し、これまでに、TJに局在するRab13がクローディンのゴルジ体から細胞膜へのエクソサイトーシスおよびオクルーディンのエンドソームから細胞膜へのリサイクリングを特異的に制御することを見出している。さらに、Rab13の新規標的蛋白質JRAB/MICAL-L2の同定に成功し、Rab13-JRAB/MICAL-L2系がオクルーディンのリサイクリングおよび機能的なTJの形成を制御することを明らかにしている。そこで、本年度の研究では、癌細胞浸潤のモデルと考えられる上皮細胞の細胞分散(cell scattering)におけるRab13-JRAB/MICAL-L2系の役割を検討し、以下の結果を得た。1)MDCK細胞において、イヌRab13をRNA干渉法によりノックダウンすると、ホルボールエステル(TPA)刺激によるcell scatteringが抑制された。2)Rab13は、MDCK細胞のTPA刺激によるcell scatteringにおいて一過性に活性化された。3)Rab13とJRAB/MICAL-L2は、MDCK細胞のTPA刺激によるcell scatteringにおいて細胞膜のラメリポディア様部位へ共に集積した。これらの結果から、Rab13-JRAB/MICAL-L2系は、上皮細胞のcell scatteringを制御することが示唆された。このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成できた。
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