2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の極性形成におけるRab13-標的蛋白質系の作用機構
Project/Area Number |
18590271
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西村 範行 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00322719)
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Keywords | 細胞極性 / タイトジャンクション / アドヘレンスジャンクション / Rab13 / Rab8 / JRAB / MICAL-L2 |
Research Abstract |
上皮細胞が頂端部-基底部軸に沿った極性を形成・維持することは、生体の恒常性を保つために必須であり、この細胞極性を支えるタイトジャンクション(TJ)は、基本的な細胞間接着を担うアドヘレンスジャンクション(AJ)の頂端側に形成される。TJとAJはさまざまな刺激に応じて分解と形成を繰り返しており、これにはTJとAJを構成する接着分子クローディン・オクルーディンとカドヘリンの細胞膜への小胞輸送の調節が重要だと考えられる。研究代表者は、60以上のメンバーが同定されている細胞内小胞輸送の代表的な制御系であるRabファミリー低分子量G蛋白質(Rab)に注目し、これまでに、TJに局在するRab13がオクルーディンのエンドソームから細胞膜へのリサイクリングを制御することを見出し、Rab13の新規標的蛋白質JRAB/MICAL-L2を同定している。さらに、Rab13-JRAB/MICAL-L2系が機能的なTJの形成および細胞分散を制御することを明らかにしている。そこで、本年度の研究では、カドヘリンの細胞膜への輸送におけるRabl3-JRAB/MICAL-L2系の役割を検討し、以下の結果を得た。1)Rab13はクローディン・オクルーディンの輸送を特異的に制御するのに対して、JRAB/MICAL-L2はクローディン・オクルーディンに加えてカドヘリンの輸送も制御した。2)Rab8は、JRAB/MICAL-L2にRab13と競合的に結合してカドヘリンの輸送を制御した。3)JRAB/MICAL-L2は、リサイクリングエンドソームではRab8と細胞膜ではRab13と結合して機能した。これらの結果から、JRAB/MICAL-L2は、Rab13およびRab8と結合してTJとAJの形成を協調させることが示唆された。このように、本年度の研究は予想以上に進展し、当初の目的はほぼ達成できた。
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