2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞診液状化検体を利用した子宮頸癌の高感度検査法の開発研究
Project/Area Number |
18590319
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 孝昭 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (90292581)
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Keywords | HPV / 細胞診断学 / 子宮頚癌 / リアルタイムPCR / ウイルス存在様式 / ウイルス量 / 細胞診液状化検体 / 異形成 |
Research Abstract |
各種異形成から癌の液状化細胞診検体を利用し、HPV DNAの検出と亜型分類を行ったのち、新しい臨床応用可能なマーカーの創出にむけて検討を行った。 1.液状化検体から抽出したmRNAをもとにp16やHPV E6などを標的とし、Real-time PCR法にてmRNAの定量を行ったが、効率的なmRNAの増幅ができなった。これは現在使われている液状化細胞診保存液がmRNAの保存に適してなく、固定保存液中でのmRNAの破壊が原因になっている可能性が考えられた。これについては今後固定保存液の変更や見直しが必要との結論に至った。 2.臨床的に最も多くを占めるHPV16型について、Real-time PCR法により、液状化細胞診検体中のHPV copy数の計測を試みた。すなわち、HPV E6領域を増幅し、培養細胞(SiHa細胞=1copy/cell)との相対的なcopy数を算出し、さらにhouskeeping geneとしてのβ-actinを同時測定することで、検体中の細胞数で補正された正確なcopy数が計測できる。一方、E2領域の増幅割合をも比較することで、HPVウイルスの宿主細胞内での存在様式も同時に判定した。これらのHPV copy数、存在様式と各種臨床病理学的因子を検討した。結果、high-gradeの異形成ではlow-gradeのものよりHPV copy数が低下する傾向が明らかであり、また年齢に従いcopy数は減少していく傾向があった。ウイルスの存在様式との関連では、integrated(細胞内組み込み型)症例は有意にウイルスcopy数が低く、年齢も他のパターンに比べ10歳以上も高いことが明らかとなった。このことは、臨床検体において、従来までのHPVの有無や型判定に加え、存在様式の判定やcopy数:の計測が症例の予後推測や経過観察にきわめて有用であるとの結論に至った。
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