2007 Fiscal Year Annual Research Report
核酸成分を中心とした免疫アジュバントによる樹状細胞活性化機構
Project/Area Number |
18590483
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
改正 恒康 The Institute of Physical and Chemical Research, 生体防御研究チーム, チームリーダー (60224325)
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Keywords | 樹状細胞 / Toll様受容体 / 免疫アジュバント / I型インターフェロン / 樹状細胞サブセット / 2本鎖RNA |
Research Abstract |
核酸系免疫アジュバントは、Toll様受容体(TLR)と呼ばれる膜タンパク、あるいは、RIG-I様受容体(RLR)と呼ばれる細胞質内タンパクを介して樹状細胞を活性化し、炎症性サイトカインやI型インターフェロン(IFN)産生などを誘導する。2本鎖RNA、Poly(I:C)は、TLR3、RLRのリガンドとして免疫アジュバントとして機能する。一方、poly(A:U)も2本鎖RNAであり、抗腫瘍効果を示すことが報告されているが、その作用機作は明らかではなかった。今回、種々の遺伝子欠損マウス、骨髄由来樹状細胞サブセット(pDC,CD24強陽性cDC,CD11b強陽性cDC)を解析することにより、poly(A:U)の作用機作解明を試みた。Poly(A:U)には、RLRを介したI型IFN誘導能はほとんど認められなかった。しかし、poly(A:U)は、形質細胞様樹状細胞(pDg)からIFN-α産生を誘導した。この作用はTLR7に依存していた。また、pDC,CD24強陽性cDC,CD11b強陽性cDCのすべてからIL-12p40産生を誘導したが、このうち、pDC,CD11b強陽性cDCにおいてはTLR7が、CD24強陽性cDCにおいてはTLR3が必須であった。また、Poly(A:U)を抗原と共にマウスに投与したところ、抗原特異的なCD8陽性T細胞集団の増加、および、その集団からのIFN-γ産生の増強が確認された。このin vivoでの効果には主にTLR3が関与していた。また、このTLR3刺激によるCD8陽性T細胞活性化には、I型IFNは関与していないことも示唆された。以上の結果から、poly(A:U)は、主にTLR3,TLR7を介して種々の樹状細胞サブセットを活性化すること、さらにその機構を介してin vivoで免疫増強効果を示すことが明らかになった。
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