2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節炎発症時における非ステロイド系抗炎症薬の消化管傷害の増悪機序の解明
Project/Area Number |
18590518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
加藤 伸一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90281500)
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Keywords | リウマチ性関節炎 / 一酸化窒素(NO) / 一酸化窒素合成酵素(NOS) / 非ステロイド系抗炎症薬 / 胃粘膜傷害 / 小腸粘膜障害 / シクロオキシゲナーゼ(COX) |
Research Abstract |
慢性関節炎発症時における非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)による消化管傷害の増悪機序を明らかにする目的で種々の検討を行い、平成18年度においては以下のような研究成果が得られた。 1)NSAIDsによる小腸傷害性の変化:インドメタシンおよびジクロフェナクによる小腸傷害の発生が胃の場合と同様にアジュバント関節炎ラットにおいては著明に増悪していることを認めた。また、その機序として、誘導型-酸化窒素(iNOS)発現の増大が関与しており、さらにiNOS発現の増大が腸粘膜内におけるToll-likereceptor(TLR)-4を発現したマクロファージの浸潤増大に起因していることを明らかにした。 2)NSAID誘起小腸傷害の発生に関与するiNOS発現の増大はNF-kappaBの活性が重要であり、免疫抑制薬であるタクロリムスはNF-kappaB活性を阻害することによりiNOS発現を低下させた結果、小腸傷害の発生を著明に抑制することを明らかにした。 3)消化器疾患の病態に関連するNOはiNOSのみならずeNOSも重要であることを見出した。具体的には、セルレインによる急性膵炎モデルにおいては、iNOS誘導はほとんど認められず、代わってeNOSの活性化、特にeNOSの不安定モノマーの増大が病態形成に寄与していることを認めた。この結果は、慢性関節炎発症時の消化管においても同様の現象が認められる可能性を示唆するものである。現在、アジュバント関節炎ラットにおける胃および小腸におけるeNOS発現の変化、ならびにeNOSの不安定モノマーと安定ダイマー比について検討中である。
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